グローバル相互接続ファブリックを介したSAP® Cloudサービスへのアクセス

Guido Coenders
Jason Sfaelos
グローバル相互接続ファブリックを介したSAP® Cloudサービスへのアクセス

ビジネスアプリケーションの大手ベンダーであるSAP®は、ERPCRMをはじめ、製品ライフサイクル、サプライチェーン管理、データベース管理の領域において、世界全体で345,000社を超える企業を変革してきました。 そしてSAP社は、SAP Cloudポートフォリオにより、世界レベルのエンタープライズアプリケーション・クラウドプラットフォーム企業へと自らが変貌することで、さらなる進化を続けています。

エクイニクスは、昨年末に「ECX Fabric」と呼ばれるEquinix Cloud Exchange™ (ECX)を介することにより、SAP Cloudのポートフォリオおよびその他SAP Enterpriseのアプリケーションサービスに対して、直接的なプライベート接続を提供することを発表しました。また、このプライベート接続サービスは世界の複数の市場において展開されます。
IaaS, PaaS and SaaS
といったSAP Cloud のポートフォリオソリューションが、世界中に展開されているInternational Business Exchange™ (IBX®)データセンター内のECX Fabricに組み込まれるようになったことで、エクイニクスのお客様はどのようなメリットを享受できるようになったのか、本稿では、その最新情報を説明していきます。

エンタープライズハイブリッドクラウドの採用

企業におけるSAP Cloudの採用は、増加傾向にあります。 米国のIT市場調査会社である「451 Research」の調査によれば、2016年度におけるSAP Cloudの世界市場におけるサブスクリプションとサポートの売上は31%増加しており、現在1.11億のユーザーが利用しているとの報告が寄せられています。 
現在、世界中にあるエクイニクスIBXデータセンター内のSAP Cloud PeeringECX Fabricは、プライベート接続で利用することが可能になっています。 このようなエクイニクスとSAPによる連携ソリューションは、SAPIaaSPaaSのそれぞれのソリューションを提供するSAP HANA Enterprise CloudSAP Cloud Platformを導入することで、ハイブリッド/マルチクラウド化を促進します。

では、どのようなタイプのお客様が、これらの新しいクラウド対応のSAP機能の活用に興味をもっているのでしょうか? そして、その理由にはどのようなものがあるのでしょうか?
長年にわたって各企業は、自社の環境内において様々なSAPのアプリケーションを利用するとともに、社内ユーザーや外部のカスタマーの絶えず変化するニーズに対応するため、何度もカスタマイズを行ってきました。 レガシーソフトウエアを維持し、かつ、新たなクラウドサービスへと統合していくことはビジネスの成功には極めて重要です。企業がクラウドを採用し、そしてSAP Cloud サービスだけでなく他のクラウドとレガシーアプリケーションとの統合をサポートするために、SAPは高度にカスタマイズされたITインフラストラクチャーを維持ししながらも、クラウドならではのメリットを提供するため、プライベートクラウドサービスSAP HANA Enterprise Cloudを市場に投入しました。これにより企業は、サードパーティのアプリケーションやSAP Cloud環境内の様々なデータソースとの相互運用を可能とする、優れた柔軟性を確保することできるようになります。

企業は様々なプロジェクトを推進するにあたって、SAPのアプリケーションの数や種類(オンプレミスやクラウド)、あるいは、他社のアプリケーションであるかどうかにも関わらず、各企業内で運用されている様々なアプリケーションをシングルユーザーインターフェイスに統合するSAP Cloud Platformを検討できるようになります。例えば、企業が全ての資産、センサー、エミッター等を自社の環境に統合することが可能になり、その結果、より効率的な追跡、分析、更新を行うことが可能になります。

今日、これらのサービスやその他のSAP SaaSサービスの統合により、製造をはじめ金融サービス、通信、ヘルスケアなどの様々な業種の企業が、レガシーのオンプレミス業務アプリケーションやビッグデータサービスを、ダイレクトでセキュアな接続によりSAP Cloudに移行して、生産性と耐障害性に優れたエンタープライズクラスのハイブリッド/マルチクラウド環境を構築しています。(下図参照)。 

ECX Fabric でのSAP Cloud Peering
SAPサービスへの閉域接続により、エクイニクスのお客様はパブリックなインターネットを迂回することが可能となります。これにより、低遅延で一貫したスループット、トラフィックの分離、潜在的な信頼性や過剰なトラフィックの問題の回避、といった数々の優位性を享受できるようになります。また、ECX Fabricを介した仮想接続(10Gまで)により、APIやポータルをベースとした自動化が可能になり、複数のクラウドプロバイダーやサービスに対して、同一の物理的ポートを介した、ほぼリアルタイムなプロビジョニングも行えるようになっています。
「SAPは、最高水準のパフォーマンスと信頼性を備えた環境において、エンタープライズハイブリッドアーキテクチャーに対する企業の要求に応えるために、Equinix Cloud Exchange Fabricを取り入れました」と、Christopher Boehm氏(SAP Senior Vice President & Head of Cloud Delivery Services)は述べています。
ミッションクリティカルなエンタープライズビジネスアプリケーションサービスの実現
SAP HANA® Enterprise Cloudは、ミッションクリティカルなオペレーションに対応できるように設計、構築されています。オンプレミスでの統合、セキュリティ、フェイルオーバー、災害復旧といった機能を実装しているだけでなく、クラウドソリューションで期待される弾力性や使いやすさも兼ね備えています。 この製品によって、アナリティクスとトランザクションを単一のインメモリープラットフォーム上に統合、アプリケーションを実行させることが可能となります。 以下にユースケースの一例を紹介します。

  • レポート、ダッシュボード、分析を介してのリアルタイム運用情報と最適化
  • ビックデータ、データウエアハウスとデータマート
  • 意思決定のサポート、シミュレーション、自動化

SAP Cloud PeeringやECX Fabricを介して、様々なSAP SaaSサービスにお客様はアクセスすることが可能となります。 例えば、SAP SuccessFactors®, SAP Hybris®、 SAP Ariba® や SAP モバイルソリューションのほか、将来的には他のサービスの利用も可能となります。 SAP IaaS, PaaS や SaaS のソリューションを単一のサービスに統合することで、企業の業務運営はとてもシンプルになります。 99.9999%の平均稼働率が実証済みである、統合されたグローバル相互接続プラットフォーム(例:Platform Equinix)上でこれらサービスを利用することで、複雑なグローバルのエンタープライズアプリケーションはより使いやすいものとなり、なおかつ、パフォーマンスや拡張性、信頼性もさらに改善されます。また、 世界規模での事業継続性をさらに高めたい場合にも、ECX Fabricを利用することで、高可用性、バックアップとリカバリー、災害復旧のための環境を複数の地域に分散して構築することも可能となります。
SAP CloudおよびECX Fabricサービスへのグローバルアクセス
現在、ECX Fabricを介したSAP Cloud Peeringのソリューションは、既にAMER、APAC、EMEA地域の7か国10都市で提供されており、来年には他の新しい都市も加わる予定です。 また、SAP CloudポートフォリオとECX Fabricの統合ソリューションを提供しているIBXデータセンターに契約していない場合でも、ECX Fabricの利用者であれば、対象サービスに対して、あたかもローカルで接続しているかのようにリモートから接続することが可能です。
詳細については、以下の資料をご覧ください。


The Platform Equinix Vision 
Fly Across Clouds Using Interconnection Ecosystems
Equinix Cloud Exchange Fabric Resource Center

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Guido Coenders Director, Global Solution Architecture
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Jason Sfaelos Director of Blockchain & Neural Data Systems
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