グローバル決済における3つのトレンド

Lance Homer

SIBOSによるハイパーコネクテッドの世界における「決済」の展望

グローバル規模の資金移動、特に付加価値の高い企業間(B2B)における資金移動は、銀行にとって主要な収益源の1つでありましたが、現在、従来型の企業決済の収益マージンは比較的低く、衰退の危機に直面しています。現状を改善していくために、銀行はトランザクションの費用を削減しながら、顧客に対してより素晴らしい価値を提供できる新しい方法を模索しています。 良いニュースとしては、国境を越えた決済のイノベーションが加速しています。しかし、導入するには銀行は新しい決済プラットフォームやエコシステムを準備する必要があります。

先日SIBOS London( 世界銀行間金融通信協会:SWIFTが主催するグローバルの金融機関の年次会議)に参加し、テーマは「Thriving in a hyper-connected world(ハイパーコネクテッド世界での成功)」でした。そこで大きく明確に共感したことの1つが、この業界の競争による、より速い低コストで加入者が拡大するエコシステム全体で国をまたいだ決済の「追跡」機能の改善が推進されていることです。

オンデマンドのデジタルサービスへの移行により、決済の環境が急速に変化しており、新しいアプローチの必要性を促しています。競争に打ち勝つには、従来のプレイヤーは自社のITアーキテクチャを変革し、デジタルエッジで迅速にパートナーとの提携やデータ交換を実現するとともに、マイクロサービスの開発、セキュアかつ低遅延で資金を迅速に送金できるようにする必要があります。


12の業界の意思決定者の中で、リアルタイム決済にメリットがあると答えた割合。 Tweet This


決済の過去と現在

従来の決済システムは、銀行間ネットワークにおける資金移動として発展しました。 国内送金(米国)では、銀行間の決済は通常、国の中央/国立銀行またはクリアリングハウス(清算機関)で行われます。一方、国際的な国境を越えた決済では、銀行は相互に預金口座または見合勘定を使用して資金送金を決済します。[i]

現在、決済の状況は、下図のようにかなり多様でダイナミックなものになっています。 より多くのプレイヤーが、新しいビジネスモデルや決済方法を開発すべく台頭し、協力しています。Fast Payment(スピーディーな決済処理)は、現在リアルタイムに移行し、付加価値のあるエクスペリエンスやサービスが急増しつつあります。

出典:エクイニクス


200以上の国で決済情報の送受信にSWIFTのネットワークを利用している金融機関の数。

現在、SWIFTはクラウドに移行しつつあります。安全なハイブリッドのマルチクラウドアーキテクチャは、パブリックインターネット固有のリスクを回避するために不可欠です。

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SIBOSが説明する決済の展望を形成する3つのトレンド

決済システムの急速なトランスフォーメーションの推進を後押しするSIBOSの講演では、いくつか重要なトレンドが紹介されました。以下がその一部です。

  1. リアルタイム決済:今日の消費者は、PayPal、またはZelleのモバイルウォレット、オンラインバンキング、P2Pのリアルタイムのデジタル決済のオプションの利用を享受しています。40ヵ国以上がFast payment(スピーディーな決済方法)を導入し、56ヵ国超がリアルタイム決済(プラットフォーム)の本番稼動を2020年までに予定しています[i]。規模に関わらず企業は、業務の効率化、費用の削減、新たな価値創造のために、リアルタイム決済を導入することに興味を示しています。PYMNTS(Payment News & Mobile Payment Trends)における12ヵ国以上の国々の意思決定者400人を対象にした調査によると、リアルタイム決済でメリットがあると回答した企業は70%でした[ii]。リアルタイム決済を実現するには、銀行、決済サービスのプロバイダ、ネットワーク、そしてクラウドに、銀行が低レイテンシーかつセキュアでダイレクトな相互接続ができるようにする必要があります。全てのアカウント情報を送信する必要がなくなるため、セキュリティ強化対策でトークナイゼーションを活用したリアルタイムのデジタル決済がますます増えています。
  2. SWIFTがクラウトへ移行:ほとんどのインターバンク資金送信では、コードの標準システムを介して振替えられる決済情報を安全に送受信するために、SWIFTのメッセージネットワークを活用しています。SWIFTは、200ヵ国以上の国々や地域において11,000以上の金融機関と繋がっています。今まで企業や金融機関は、ネットワークを活用するためにSWIFTの技術を自社のオンプレに設置・維持し続ける必要がありました。しかし、もはやその必要はありません。 今年のSIBOSでは、SWIFTとMicrosoftがバンク・オブ・ニューヨーク・メロンの財務サービスと協力して、Microsoft Azure上でホスティングしているSWIFTのCloud Connectサービスを介して初めてリアルタイムで決済トランザクションを実行しました。SWIFTは、今年の後半に顧客への試験的利用を開始する予定で、最終的にはその他の主要なクラウドプロバイダへの接続を展開する予定です[iii]。他の大手クラウドプロバイダにワークロードが存在する銀行や企業は、現在、SWIFTのような決済処理ネットワークに自社のバンキングネットワークを連携させるようなハイブリッドのマルチクラウドアーキテクチャを適用している状態です。世界各地において、オンデマンドで(必要に応じて)Equinix Cloud Exchange Fabric™(ECX Fabric™)を使用して、プライベートで複数のクラウド環境に接続することによって、銀行や決済サービスプロバイダは、パブリックインターネット上で金融取引に存在するセキュリティおよびパフォーマンスのリスクを回避することができます。
  3. データ活用:急激に変化する状況で価値創造の新しい方法を模索する中で、エンドツーエンドの決済処理や顧客についての豊富なデータを利用することが鍵になります。ISO20022とは、トランザクションメッセージの一部として、決済に関する豊富なデータを提供してくれるグローバルトランザクションのスタンダードとなっており、決済に関するトレンドや状況についての洞察を与えてくれます。APIを通じてデータへのアクセスが解放されれば、銀行は付加価値を持つコンテンツエクスペリエンスや決済サービスを提供する広範なデジタルエコシステムの中心的地位を確立することができます。サードパーティの開発者は、基本となるトランザクションを超越したサービスを提供し、迅速なエクスペリエンス(例、融資申請のための資金への即時アクセスを提供する)に焦点を合わせることも可能です。そして金融機関にとっても、デジタルID(認証)など新たな付加価値サービスを創造するために、数十年にわたって顧客や企業と築いてきた信頼関係を活用できるまたとない機会になります。

進化を遂げる決済業界全体を横断した相互接続

新規および既存のプレイヤーが、高速な決済、マルチクラウドの敏捷性、豊富なデータの洞察・知見、そして新たなサービスを模索する中、デジタル決済のエコシステムも進化し、変化し続けています。 つまり、相互接続されたデジタルプラットフォームへ移行することで、プロバイダは従来型ITアーキテクチャの限界を超え、リアルタイムで付加価値のあるサービスをグローバルで提供できるようになるのです。

デジタル決済における主要トレンドに関しては、ホワイトペーパーをご覧下さい。

決済と商取引に対するデジタルエッジプレイブックをダウンロードできます。

ACI WorldwideのAny-to-Any決済システムによって、ネットワークやクラウドプロバイダ、パートナー、顧客間で、スピーディーでプライベートなインターコネクション(相互接続)を行うことで、リアルタイムで不正検出を実現するデータ交換やアナリテックスが可能になりました。

[i] FIS, Flavors of Fast Report 2018, website and reportPYMNTS.com, Faster Payments Tracker™, sponsored by fiserv, Jan 2019.

[ii] PYMNTS.com, NEW DATA: Why One-Third Of Businesses Want Real-Time Payments, Oct 2018.

[iii] PR Newswire, BNY Mellon, SWIFT and Microsoft Turn Cloud-Based Messaging Concept into Reality During Sibos 2019 Conference, Sep 2019Finextra, Sibos 2019: Swift heads for the Cloud, Sep 2019.

Lance Homer
Lance Homer Global Head of Strategy for Electronic Payments