企業のデジタルIT化レベルを測定する

Jed Bleess

ビジネスをデジタル対応へ導く3つの知見

物理的距離は、デジタルビジネスにとって致命的な問題だと言えます。しかし、常にこれが当てはまるわけではありません。実際に反対のことが正しい場合がありました。私がITの技術者として働き始めて間もない頃、距離をおいて災害復旧(DR)ソリューションにとってITインフラから距離を置くことは、必要条件でした。ソリューションでビジネスをサポートするには距離を置く必要がありました。そして分散型ソリューションが成熟するにつれて、データセンターやITサービスを必要とするユーザーやシステムの近くにそれらを構築するといった考えは検討されなくなりました。しかし、今日のデジタルにおけるリーダーたちは、現在この「物理的距離」がアプリケーションのパフォーマンスやユーザーエクスペリエンスを大幅に損ねており、デジタルの要求に応えるためには根本的に新しいアーキテクチャが必要であることに気付いたのです。

現在のデジタルビジネスでは、ダイナミックでレイテンシ(遅延)に影響を受けやすいワークロードが必要とされています。モバイル決済やプログラム広告などのアプリケーションでは、20ミリ秒を超える応答時間では完全な障害となるでしょう。このような問題を解決し、さらに価値をもたらすために、ITチームはITサービス、アプリケーション、そしてエッジにいるユーザーやビジネスパートナーの間に存在する距離を相当縮める必要があります。多くのビジネスがエッジへと移行していく中で、より大量のデータが生成・交換されるようになっています。Top 10 Emerging Trends Affecting Digital Infrastructure and Operations in 2019「2019年におけるデジタルインフラや運用に影響を及ぼす最新トレンドトップ10」)の報告書の中で、「ガートナー社は、2022年までに企業が生成したデータの50%以上が、データセンターやクラウドの外で生成/処理されるようになると予測しています。」[i]


50%以上

企業が生成するデータは、データセンターまたはクラウドの外で生成され、処理されることになります。 Tweet This


エクイニクスにおいても、この現象が全ての業界や地域に渡る顧客で発生していることが確認されています。あらゆる場所で発生しているデータの増加によって、企業は前述の「距離に対してのジレンマ」を解決するための新しいアプローチを取ることを余儀なくされており、エッジでのプライベートのインターコネクション(相互接続)を活用しています。 エクイニクスが発行する市場調査Global Interconnection Index (GXI)のVol 3の中で、企業間で交換されるデータ量に対応するために必要なプライベートのインターコネクション(相互接続)の帯域容量の増加を測定し予測を報告しています[ii] 。GXIによると、2022年までにインターコネクション(相互接続)の帯域の増加は、13,300 Tbps以上に到達すると予測しています。この数値は、グローバルにおけるインターネット通信のピークの2倍で、通信量は13倍以上となり、言い換えると、年間で53ゼタバイト(ZB)に相当します。

GIXレポートは、エッジにITサービスを提供するようにシフトする企業間の直接の相関関係、データ量の増加とインターコネクション(相互接続)の帯域増加について、現実から得られた証拠を提示しています。今回初めてGXIの分析により、インターコネクション(相互接続)の増加が、どのように様々な業界を超えて企業間や世界の主要都市で発生しているかについて取得した洞察を報告しています。これらの情報から、各社のデジタル対応を評価することにより、自社のITインフラの変革し、グローバルのデジタル経済で成功を収めるために必要なステップを踏むことが可能になります。

デジタル対応に関する洞察

これから紹介するGXI Vol.3から得た知見は、3年間に渡って世界の主要企業の展開データを基にしています。これらの展開データは、世界全体で4,100以上を実装している、450に及ぶ新興企業の分析も含まれています。各企業(および業界)がタイミングや優先順位が異なる個別の問題を解決しなければならないため、キャビネットと接続数の比率が大きく変わることが予想されます。 平均するとこれらの企業では、全体でインターコネクション(相互接続)のハブを9ヵ所、キャビネットを240台、接続が330本展開されています。


「平均的な企業のデジタル対応では、NSP、CSP、ビジネスパートナー間において、9ヵ所のハブ、240台のキャビネット、そして接続が330本展開されています。」


知見#1:デジタル対応は分散型ITサービスに比例する

GXIのVol.3は、デジタルトランスフォーメーションは、「集中型ITサービスモデル」から「優れたパフォーマンスやユーザーエクスペリエンスを実現するために設計し、地域で分散を進めるモデル」へどのようなシフトが必要か提示しています。結果として、業界に特化したエコシステムの集中化が世界の主要都市で台頭し、ビジネスパートナーとデジタル(ネットワーク、クラウド、SaaS)サービスプロバイダ間のインターコネクション(相互接続)の拡大の必要性を促しています。「A Practical Guide to Digital Business Success(デジタルビジネスの成功に向けた実践ガイド)」のブログの中で、企業にとってデジタル対応を実現するために必要なステップが示されています。これには従業員、パートナー企業、顧客の近接地において、ネットワーク最適化の展開、ハイブリッドクラウド、分散型セキュリティ、分散型データ、企業におけるエッジのインターコネクション(相互接続)ハブを介してのアプリケーション交換が含まれています。以下のデジタル対応の状況を示した図は、世界中に分散したインターコネクション(相互接続)のハブが、エッジに存在する膨大な数の安全なダイレクト接続を介してエコシステムの加入者に接続されていることを示しています。


「GXIによって、各企業が自社のデジタル対応の状況を評価することで、グローバルデジタル経済で成功するためのITインフラの変革に必要なステップを踏んでいけるようになります。」


デジタル対応には、世界中に分散しているインターコネクション(相互接続)ハブが必須

知見#2: デジタル対応とはデジタルと企業のエコシステムを相互接続することを意味する

下図は、様々な企業が利用しているネットワークサービスプロバイダ(NSP)、クラウドサービスプロバイダ(CSP)、ビジネスパートナーとのインターコネクション(相互接続)の密度の違いを表しています。これらのインターコネクション(相互接続)の展開モデルは、各業界における独自の顧客ニーズにより決定付けられています。

通信、証券取引、コンテンツ/デジタルメディアの業界では、NSPへのプライベートのインターコネクション(相互接続)が相当数を占めています。これらの業界は、直接プロバイダや企業に接続する必要があり、インターコネクション(相互接続)の早期導入に至っています。また、展開データからも、各業界の企業や顧客要件を満たすために進むべき行程に関する洞察が得られます。例えば製造業では大量のデータを管理する必要があります。そして、これらのメーカーのサプライチェーン、クラウド、ビジネスパートナー全体でデータを共有する必要があるため、キャビネット数が大幅に増加することが分かります。一方で、卸売り/小売業界においては、全く異なる展開モデルを採用しています。この業界では、より優れたリモートユーザーのエクスペリエンスを提供する必要性があるため、クラウドとエコシステムのパートナー企業が連携することが優先されているため、キャビネット毎のインターコネクション(相互接続)の密度が相当高くなっていることが分かります。

デジタル対応には適切な都市に位置していることが重要です

GIXのレポートの都市レベルの分析を詳しく見ると、「どの業界がどの特定の都市でインターコネクション(相互接続)が高いレベルで発生しているか」が明らかになります。どの業界のエコシステムがどの都市の地域で最も高いレベルでインターコネクション(相互接続)を活用しているかを把握することにより、地域や世界規模での市場拡大の新たなチャンスを見極めることが可能になります。例えば、通信会社と最も多くインターコネクション(相互接続)を展開する都市は、ワシントンDC、シリコンバレー、フランクフルト、アムステルダム、シンガポール、シドニーであり、エネルギーやユーティリティ会社でのプライベートのインターコネクション(相互接続)の密度が最も高くなっています。

GXI Vol 3のレポートでは、実際の世界規模でのインターコネクション(相互接続)の導入に関する最新の知見を提供しています。ITやインターコネクション(相互接続)が業界毎にどこで展開されようとしているのか、各業界のどの企業がどこに繋がろうとしているのか、そしてこれらが発生しているのは世界のどの地域かを教えてくれます。

こうした貴重な情報を利用して、各企業がデジタル成熟度においてどの段階にあるのかが判断できます。そしてこのベンチマークを起点に、世界規模で顧客、従業員、パートナーに新たな価値を提供するために、企業のデジタル成熟度を最大限に向上させてくれる革新的なデジタルのビジネスプラットフォームの展開が可能になるのです。

インターコネクション(相互接続)が企業のデジタルトランスフォーメーションの加速をどのように実現するのかについての詳細情報は、GXI Volume 3をご覧下さい。

 

[i] ガートナー社、 Top 10 Emerging Trends Affecting Digital Infrastructure and Operations in 2019(2019年におけるデジタルインフラや運用に影響を及ぼすトレンドトップ10)、David Cappuccio、 Ross Winser、2019年2月11日、

[ii] インターコネクション(相互接続)帯域幅は、キャリアに依存しないコロケーションのデータセンター内の分散型ITエクスチェンジポイントで、様々なパートナーやプロバイダ間において、プライベートでダイレクトにトラフィックを交換するためにプロビジョニングされる全通信容量と定義されます。

Jed Bleess
Jed Bleess Director of Vertical Marketing