世界の通信トラフィックを支える海底ケーブルの新アーキテクチャ

キャリア中立のデータセンターが海底ケーブルの陸揚地の新たな拠点に

Alex Vaxmonsky
世界の通信トラフィックを支える海底ケーブルの新アーキテクチャ

2019年の初めの時点で、世界で約378の海底ケーブルが利用されおり、海底に敷設されているファイバーケーブルは約120万キロメートルです。[i] そして、海底ケーブルの所有者は絶えず変化しています。現在、コンソーシアム(共同事業体)や既存の法人ケーブル会社は、独立インフラプロバイダ(IIP)やハイパースケールのコンテンツプロバイダ(Amazon, Facebook, Google, Microsoftなど)から挑戦を受けており、IIPやハイパースケールの敷設容量は海底ケーブル帯域幅増加の3分の2以上を占めています。

Equinix Cloud Exchange Fabric™

Equinix Cloud Exchange Fabric(ECX FabricTM)は、Platform Equinix® 上で分散するインフラとデジタルエコシステムに安全かつダイナミックにダイレクト接続します。ソフトウェアで定義された相互接続を介して、メトロ内またはグローバルにある2つのECX Fabric拠点間で、オンデマンドでデータセンター間のネットワーク接続を確立できます。

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ecx-fabric

新しいケーブル終端モデルが登場

世界の主要都市の市場への多様なルートを有する様々な地上のネットワークサービスプロバイダ(NSP)へ接続するために、キャリア中立のコロケーションまたはハイパースケールのデータセンター(例、AWS、Google)での海底ケーブルの陸揚が好まれています。キャリア中立のコロケーションプロバイダーは、海底ケーブルのケーブル陸揚局(CLS)の機器および、アクセススペース、電力をコロケーションし、ダイレクトなクロスコネクト接続も実現しています。

一方で、YouTube, NetFlix、Huluなどの「Over the Top(OTT)」プロバイダやIIPは、地上のバックホールネットワークに積極的に投資を行っています。これにより、CLSやCLSをホストするデータセンター、給電装置(PFE)や海底通信楊端局装置(SLTE)を含むコンポーネントからのダークファイバー接続が増加しています。これら海底ケーブルの所有会社は、大多数の顧客やビジネスパートナーの近くに彼らの海底ケーブル接続の終端となるキャリア中立のデータセンター施設を求めています。さらに、これらのケーブル所有企業は、大幅な費用を抑えながら低レイテンシ接続と最高のサービス品質(QoS)を実現するグローバルプラットフォームも必要としています。このような世界のコロケーションおよびインターコネクション(相互接続)サービスのプラットフォームは、都市、国、大陸をつなぐグローバル規模の海底ケーブル網を活用できるユーザーをより多く惹きつける磁石のような効果を生み出しています。

エクイニクスのInternational Business Exchange TM(IBX®)のデータセンターのように、スタンドアロンCLS、または、「CLS+パートナー+顧客」のコロケーションを提供するベンダーニュートラルなデータセンターに接続する専用の都市圏や長距離専用のダークファイバーネットワークは、これからの数年間は継続して勢いを増すでしょう。例えば、エクイニクスのLA4データセンターでは、チリとカリフォルニアをつなぐGoogleのプライベートケーブルCurieに対するPFEとSLTEを収容しています。また、LA4はロサンゼルスから日本の千倉に至る太平洋を横断するFASTER海底ケーブルへの接続も提供しています。

GoogleのCurie海底ケーブルシステム

出典元:Google

 

エッジを拠点とするオープンケーブルシステムへの移行
ハイパースケーラー、OTT、その他海底ケーブルの所有企業やテナントは、最大の海底-地上間のバックホール、ネットワークベンダーの選択、そして大多数の企業の顧客へのアクセスのなど様々なルート接続を確保するために、通信会社に依存しないCLS拠点へと移行しています。パフォーマンス、多様性、耐障害性を最大化するために、海洋-地上間のインターコネクション(相互接続)ポイントとしてのオープンなCLSの役割が重要となっています。「コンチネンタルエッジ」の概念とは、海底、地上の通信事業者とその他の接続ネットワーク(例:コンテンツ配信ネットワーク)から成るエコシステムの構築を意味しています。これらのビジネスには、オープンなインターネットエクスチェンジポイント(IXP)、および海底ケーブルの陸揚地である沿岸のエッジでのダークファイバーの敷設やソフトウエア定義のネットワーク(SDN)の提供を含むクラウドやネットワークプロバイダへのアクセスが必要です。最低のコストで最高のパフォーマンスを提供するために、これらの機能は、海底ケーブルの運営会社にとって重要性が高まり続けるでしょう。

ポイントツーポイントのクロスコネクトで海底ケーブルと複数企業をプライベートに相互接続

スタンドアロンCLSまたはキャリア中立のマルチテナントのデータセンターのいずれの場合でも、ジャンパファイバーケーブルを介したプライベートのクロスコネクトは、データセンター内で複数の企業を相互接続するために重要な役割を果たしています。「オープンな」ポリシーは、あらゆるタイプの制約を受けることなく、海底ケーブルの運営会社、地上のファイバ、SDNとクラウドプロバイダ、IXP間のクロスコネクトをいかなる種類の制限なしに容易にします。

クロスコネクトは、企業間のプライベートのデータ交換や相互通信を可能にしてくれるポイントツーポイントのケーブルのリンクのことを指します。データセンターを海底CLSに直接終端することで、このCLSとEquinix Cloud Exchange Fabric™(ECX Fabric™)などのインターコネクション(相互接続)ハブ間のワークロードのバックホールから発生する遅延を解消することができます。このモデルによって、海底ケーブル運営会社は、データセンター内に存在するクラウド、ネットワーク、コンテンツ、およびその他のエコシステムパートナーへの迅速かつ安全なダイレクト接続を顧客に提供することができます。

海底ケーブルの容量拡大

今日、海底ケーブルのシステムは、世界の大陸をつなぎ、世界中の全通信の95%を伝送しています[ii]。主としてクラウドサービスへの継続的な移行およびモバイルデバイス利用の爆発的増加による帯域の需要拡大は、海底ケーブル業界に対して新たなケーブルシステムを構築する数多くの機会をもたらしています。多くの予測によると、現在および近い将来の世界中の海底ケーブル上で通信されるデータの増加率は40%で、2022年までに毎月6,000キロテラバイト近くまで拡大するとされています。海底ケーブルの設計容量は2対の6光ファイバーから50-60TBペアに対応できる2対の24光ファイバーへと増加しており、これは海底ケーブルが世界中でデジタルのワークロードを伝送するための主要な手段になる可能性があるということを示しています。

出典:SubTelフォーラムマガジン

 

海底ケーブルの成長を支えるエクイニクス

先日エクイニクスは、RTI Connectivity Pte. Ltd.(RTI)が東京(日本)とシドニー(オーストラリア)に同社の接続ソリューションを拡張するためにエクイニクスを選択したことを発表しました。この新しいケーブルシステムのユニークな設計は、この大陸間のレイテンシを解消する一方で、プロビジョニングにかかる時間も数週間から僅か数日間に短縮しています。RTI社は、ケーブル陸揚局の提供、管理に関する専門知識、および、ネットワーク、クラウド、金融、ITサービスプロバイダなど、多彩かつ豊富な企業から成るエコシステムへのアクセスを理由に、エクイニクスのIBXデータセンターを同社のCLS拠点として選択しました。

出典元:エクイニクス

現在エクイニクスは世界55都市で展開しており、その中で海底ケーブルに対応した38のデータセンターを運営し(下図参照)、約60の海底ケーブル関連プロジェクトが計画や開発の段階にあります。エクイニクスは、世界中で拡大する海底ケーブルシステムのニーズに対応するために必要で重要な機能を備えています。エクイニクスのグローバルで展開するベンダーニュートラルなデータセンター、およびエクイニクスの高速かつ低遅延のインターコネクション(相互接続)のソリューションは、海底ケーブルの所有者やテナントに対して、高密度なネットワークとクラウドのエコシステムへの安全なダイレクト接続を提供しており、世界中で9,700社以上のお客様にご利用いただいています。

グローバル海底ケーブルに対応するエクイニクスのIBXデータセンター

出典元:エクイニクス

 

詳細については、ECX Fabricを御覧ください。

 

[i] Telegeography

[ii] SubTel Forum Magazine, “Re-Imagining Telecom Subsea Cables,” Clifford Holliday, February 2020.

 

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Alex Vaxmonsky Director, business development for global service providers
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