SAPのERP(エンタープライズリソースプランニング)をクラウドに移行

プライベートのインターコネクション(相互接続)を活用して、エンタープライズERPアプリケーションの移行を加速

Christof Juette
SAPのERP(エンタープライズリソースプランニング)をクラウドに移行

SAP CEOの Christian Klein氏が、クラウドベースのSAPのアプリケーションに対する顧客の需要を満たす決意を強固にしたことは全く驚くに値しませんでした。Klein氏は2020年第1四半期の決算説明会で、「バリューチェーンをエンドツーエンドで運用するために、SAPのお客様は、SAP Cloud PlatformをベースにSAPのコストソリューションへのシームレスな統合を行い、クラウド内で業界固有のプロセスをSAPが推進することを望んでいます。そして、SAPはその要求に断固として対応します」と述べています。[i]  Klein氏と彼のチームは40万を超える顧客のデジタルフォーメーションを支援するために尽力していますが、この「尽力」の中には、主にオンプレミスのSAPシステムのクラウドへの移行も含まれています。SAPは、SAP Business Suite 7 のコアアプリケーションのメインストリーム保守を2027年末まで提供し、その後オプションとして2030年末まで延長保守を提供する予定です。OrangeやTelstraなどのネットワークキャリアやクラウドプロバイダ(AWS、Microsoft Azure、Google Cloudなど)でさえ、このような大きな移行のビジネスチャンスに対処するためにSAP向けの業務や営業部隊を立ち上げています。

SAPの顧客にとって、このことは容易なことではないでしょう。クラウドへの移行は、企業の自社のIT運用方法を根本的に変えることになるからです。特に、企業が選択しなければならないHANAシステムの導入モデルの選択肢が多数であることも、容易ではない理由の一つです。また、SAP Enterpriseソフトウェアは高度に個別化とカスタマイズ性をもっており、現在使用しているオンプレミスの導入ツールを、クラウドに移行する際に変更する必要があります。

Equinix Cloud Exchange Fabric™

Equinix Cloud Exchange Fabric(ECX Fabric™)は、Platform Equinix® 上で分散するインフラやデジタルエコシステムを安全かつダイナミックにダイレクト接続します。ソフトウエア定義の相互接続を介して、同じ都市圏内あるいはグローバルな2つのECX Fabric拠点間で、データセンター間のネットワークをオンデマンドで確立します。

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オンプレミスからクラウドへの移行を容易にするため、SAPはエクイニクスなどのパートナーと協力し、移行を比較的シームレスに行えるように尽力しています。これには、SAPの顧客に対して次の推奨事項を提示することも含まれます。

  1. 企業は、デジタルトランスフォーメーションとクラウドへの移行を進めるための要件をまとめ、実行するにあたり、何が必要かを考える。
  2. SAPのアプリケーションとサービスのクラウドへの移行の技術を確認する。SAPアプリケーション用のハイブリッドのインフラまたはマルチクラウドのインフラの導入を成功させるために必要な作業、必要とされる機能は何かを考える(優れたパフォーマンス、安全なインターコネクション、拡張性、ネットワークやクラウドへのダイレクトアクセスなど)。
  3. アプリケーションを中断すること無く、どのようにクラウドへの移行を行うのか計画する。

エクイニクスは、クラウドへの移行を行うSAPの顧客のサポートにおいて重要なパートナーです。例えば、世界中にあるエクイニクスのSolution Validation Center(ソリューション検証センター:SVC)において、クラウド内でサンドボックスの試験やユースケースの評価を実行するサポートを行います。また、Equinix Performance Hub や Equinix Cloud Exchange Fabric(ECX Fabric)を活用することで、企業はデジタルトランスフォーメーションに向けて、Platform Equinix® 上でのSAPやその他のエンタープライズアプリケーションのクラウドへの移行することの価値や恩恵を実感することができます。

柔軟なインターコネクション(相互接続)により、敏捷性や拡張性を向上

アプリケーションのクラウドへの移行を目の当たりにしているSAPの企業顧客やSAPシステムのインテグレーター(AccentureやCapgeminiなど)は、柔軟なインターコネクション(相互接続)の価値を高く評価しています。オンデマンドでSAP HANAのプラットフォームにユーザーのためにネットワークの帯域やOn-Rampを仮想的に追加できることは、機敏性と拡張性の点で大きなメリットがあります。

ほとんどのSAPの利用は複数のクラウドプラットフォーム上で実行されるため、企業はハイブリッドマルチクラウドプラットフォームを迅速に展開し、各クラウドサービスプロバイダ(CSP)が提供する機能を最大限に活用する必要があります。特に、企業のITインフラや複数のクラウド間の高速かつ低遅延の接続を確保することに関しては、ダイレクトかつ安全なクラウドのインターコネクション(相互接続)が鍵となります。ECX Fabricのソフトウェア定義のインターコネクション(相互接続)により、企業は1つの物理ポートを介してPlatform Equinix上のCSPに複数の仮想接続を確立し、1対1の接続を複数回行う必要がなくなります。また、世界中に45拠点を超える ECX Fabricが展開しているため、IT部門は地理的に離れたSAP HANAやクラウドプロバイダにアクセスすることができます。ECX Fabricを利用することで、企業はハードウェアを追加しなくても仮想ネットワークデバイスをスピンアップし、クラウド内のSAP HANAインスタンスにわずか数分でアクセスできるようになります。下図では、柔軟なインターコネクション(相互接続)の基盤を構築することで、仮想ネットワークルータを介してプライベートクラウドとパブリッククラウドの両方に接続する選択肢が増えることを示しています。

SAP HANAのクラウドへの移行を加速

通常、企業はSAP HANAのインスタンスを1つのパブリッククラウド上で実行することによって、SAPへの移行のジャーニー(道程)が始まります。企業のITプロセスの一部がクラウドで運用され、企業は新しいSAPアーキテクチャや運用を体験することになります。次のステップでは、より多くのプロセスが移行され、このクラウドへの移行のメリットが現実にもたらされるようになります。

この段階で、SAPの顧客はマルチクラウドの導入を検討し始めることになるでしょう。CSPには、さまざまなビジネスアプリケーションと運用をサポートするという点で、企業のITに対応する特定の専門性を持っています。例えば、SAPインスタンスはAzureで実行され、そしてDR(災害復旧)はAWSでホストされているのに対しデータウェアハウス機能はGoogle Cloudに適しているかもしれません。クラウド間のインターコネクション(相互接続)はこのアーキテクチャの基礎部分であり、クラウド移行プロセスの最初の段階で実装することが重要です。設計の最後の段階でこの接続を統合すると、変革に必要な大規模な作業が発生する可能性があります。

地理的に離れた拠点にあるさまざまなワークロードのオーケストレーションは、インターコネクション(相互接続)を中心に実行することができるようになります。エクイニクスのNetwork Edgeは、これらのタスクを管理するための仮想ネットワークアプライアンスを提供します。さまざまなサービスに対応するネットワークとこれらのサービス間の相互作用のルールを定義することができます。ワークロードやデータストリームのフローを操作するツールは、数分でスピンアップでき、必要なキャパシティに応じて簡単に拡張できます。

ECX FabricおよびNetwork Edgeサービスを介したプライベートなインターコネクション(相互接続)により、SAPのお客様はERPおよびその他のビジネスアプリケーションをSAP HANAに効率的かつ効果的に移行し、将来にわたって活用できるハイブリッドマルチクラウドインフラを構築できます。

ECX Fabricについては、こちらをご覧下さい。

[i] The Motely Fool, “SAP SE O.N. (SAP) Q1 2020 Earnings Call Transcript,” April 21, 2020.

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