デジタル需要がもたらすインターコネクションの年平均45%の増加

Jed Bleess
デジタル需要がもたらすインターコネクションの年平均45%の増加

エクイニクスが毎年発表しているグローバルインターコネクションインデックス第4版 (GXI) では、デジタルトランスフォーメーションを推進する企業が最先端の技術に対応するため、主要なビジネスパートナー間の直接的および私的なトラフィック交換であるインターコネクションを活用し、競争優位性を生み出すデジタルインフラストラクチャーの構築と相互接続を行っていることが明らかになっています。

COVID-19による世界的なパンデミックの混乱と新たなデジタルトランスフォーメーションの課題をもたらすマクロトレンドを背景に、GXI Vol.4は、世界的に進むデジタル導入時に重要な指標であるインターコネクション帯域の成長度を追跡、測定、予測しています。

インターコネクション帯域とは、キャリアに依存しないコロケーションデータセンター内の分散したITエクスチェンジポイントにおける、多種多様なパートナーやプロバイダーとトラフィックを直接交換するためのプライベート回線の容量のことです。GXI Vol.4の予測によると、2019年から2023年にかけて、全世界のインターコネクション帯域は年間45%のペースで増加し、2023年には16,300テラビット/秒 (Tbps) に達する見込みです。

本調査ではまた、北米、ラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋における産業およびエコシステム内のインターコネクション帯域の年平均成長率 (CAGR) に焦点を当て、新しい傾向とユースケースを明らかにしています。

たとえば、COVID-19によるパンデミック状況下で、企業のデジタル導入に関するイニシアティブを支援するために、サービスプロバイダーのインターコネクション帯域が今後4年間で5倍に増加すると予測されていることをご存知でしょうか。

世界規模のインターコネクション帯域CAGR (2019~2023年)

さらにGXIは、デジタルトランスフォーメーションを成功させるために企業が取り得るネクストステップについて、重要なインサイトを提供しています。Platform Equinix ®上でデジタルトランスフォーメーションを推進する数百社による何千もの実装を分析した結果に基づき、将来のあらゆるニーズに対応するために、デジタルインフラストラクチャーをどのように展開、拡張しているかが示されています。

デジタルリーダーはどのように将来の変化に対して準備しているのでしょうか?

GXI Vol. 4はデジタルエコノミーの変遷とデジタルビジネスへのインパクトを調査しています。リーダー達がどのようにデジタルインフラストラクチャを活用しているのか、そして皆さんはどのようにインターコネクションを活用して競争力強化に役立てることができるのか、ぜひご一読ください。

続きはこちらをご覧ください
GXIVol4

マクロトレンドではデジタルトランスフォーメーションの課題が浮き彫りに

一連の世界的なトレンドが収束に向かう中、デジタルへの移行を目指す企業/組織は、以下のような課題や事実を考慮する必要があります:

  • 今後10年間に生み出される新たな価値の70%は、デジタル化に対応したビジネスモデルに基づくものになると予測されている
  • 2030年までに、世界人口の60%が都市部に居住すると予測されている
  • DDoS攻撃は前年比で270%以上増加しており、企業の30%は、ITの監視なしに毎日接続されている数千台もの安全でないデバイスに悩まされている
  • データの増加率は複合的だが、エンタープライズインテリジェンスのために分析されているデータは3%に満たない。
  • 2025年までには、デジタルリーダーの80%が、エンドユーザーへの価値向上など、複数のエコシステムへの接続によるプラスの影響を認識するようになる

デジタルビジネス、都市化、サイバーセキュリティー、データ量/コンプライアンス、ビジネスエコシステムといったマクロトレンドが衝突し続ける中、デジタルインフラストラクチャーの中心に適切なインターコネクションの戦略を持つことがますます重要になっています。

COVID-19の影響により、サービスプロバイダー間のインターコネクションが増加

2020年の初め、COVID-19によるパンデミックの影響により、企業はデジタルオーバードライブに陥りました。企業は遠隔医療やeラーニングなどのデジタルサービスを積極的に導入し、同時に世界中での在宅勤務需要の高まりによって発生する遠隔トラフィックの急増に対処するためにも、以前より多くの接続を要しました。この変化の最も一般的な例は、サービスとしての通信サービスの統合(Unified Communications as a Service (UCaaS)) の成長でしょう。新型コロナウイルスが蔓延する中、Zoomは同社のUCaaSプラットフォームを拡大し、2019年12月の1日には1000万人であった同社のユーザーは2020年4月には3億人へと急増しました。

これらの傾向は、GXI Vol.4の調査結果からみることができます。従来のGXIの調査では、今まで接続帯域の増加に関してはエンタープライズ領域が牽引してきましたが、今年の調査結果では、サービスプロバイダーの接続帯域は5年間の期間中に49%増加すると予測されています。

これは企業がデジタルインフラストラクチャーを拡張するためにインターコネクション帯域容量を増加させるのをサポートするために、サービスプロバイダーが参入しているという事実を反映しています。ソフトウェアで定義されたワイドエリアネットワーク (SD-WAN) やハイブリッドマルチクラウドアーキテクチャーの構築といった優先事項は、最先端のアクティビティーからデジタルリーダーシップの不可欠な要素へと移行しています。この移行により、最大の恩恵を受けているのは、インターコネクション帯域の31%近くを占める電気通信事業者です。それに続き、クラウド/ITサービスは全体の22%を占め、コンテンツ/デジタルメディアが全体の10%を占めています。

企業のインターコネクション帯域の動向については、GXIは、遠隔医療やeラーニングなどのオンラインサービスの新たな要件を満たすため、ヘルスケア/ライフサイエンスと政府/教育セクターがそれぞれCAGRで47%と48%と他セクターと比較し高いという報告があります。実際、GXIは、ヘルスケア/ライフサイエンスと政府/教育セクターのデジタルリーダーが今後5年間で4倍の成長を遂げるとの予想から、2023年には企業がインターコネクション帯域の供給源として再び影響力を取り戻すと予測しています。

企業とサービスプロバイダー間のインターコネクションの増加 比較(Tbps) ‐ 2019年:2023年

継続的な地域間のインターコネクションの拡大

世界経済の減速に直面しても、5年間のインターコネクションCAGRでは、地域におけるデジタル化の進展の違いが浮き彫りになっており、例えば北米 (+43%) と欧州 (+45%) のデジタルリーダーよりも、ラテンアメリカ(+50%) とアジア太平洋地域 (+47%) の企業の方が早いペースで加速するとされています。これらの地域ではデジタルの成長が著しい一方、変革が遅れていた産業部門が、新たなパンデミックの影響によるデジタル要件に対応するため、インターコネクションの成長を加速させています。今後のブログで、GXI Vol.4レポートの地域的な傾向をより詳しく取り上げる予定です。

地域間接続の増加 比較(Tbps) –2019年:2023年

エコシステムのトレンドが新しい形のコラボレーションを創出

また、GXIでは、異業種/エコシステム間のデジタルサービスコラボレーションが急増しており、2023年までにインターコネクション帯域が5倍に増加すると予想されています。COVID-19によるソーシャルディスタンシングのため多くのデジタルリーダーは、プラットフォーム機能を顧客と共有するため新しい革新的な方法を模索しており、その結果、プラットフォームへのインターコネクションが促進されています。

この協力体制の例がEpic Gamesです。同社はパンデミックの状況下でFortniteのオンラインゲームプラットフォームを音楽アーティストに提供し、遠隔地のオーディエンスにライブコンサートをストリーミングできる場としました。結果、Fortniteはラッパーのトラビス・スコット(Travis Scott)が主演したバーチャル・コンサートに、1230万人という記録的な観客動員を達成しました。

デジタルリーダーへの移行は、デジタルトランスフォーメーションを加速するためのステップを示す

今年のGXIでは、戦略的なインフラストラクチャーの導入とインターコネクションを活用してビジネス上の優位性を生み出すために、世界中の主要企業がどのような取り組みを行っているかについて、重要なインサイトを提供します。これらの調査結果は、世界中で450件を超えるエクイニクスのお客様への導入実績と、2016年第1四半期から2020年第1四半期までに完了した4,500件の導入実績の分析に基づいています。以下のグラフは、GXIが追跡した過去4年間における、Platform Equinixの企業間インターコネクションとクラウドおよびパートナーとの接続の成長を示しています。

インターコネクション導入の総数

組織が接続しているクラウドとパートナーの総数

さらに、この分析は、デジタルトランスフォーメーションを加速させ、ビジネスの成功を促進するために、デジタルインフラストラクチャーの導入、拡張、強化に何が必要かを明らかにします。これらのインサイトに基づき、どのような企業でも、デジタル化に対応できる状態への移行を開始することを意味するのか、あるいは、ビジネスがすでにデジタル化への正しい道を進んでいることを検証し、確認することを意味するのかにかかわらず、デジタル化に向けた最善の方法を見つけるため、自らのベンチマークを設定することができます。GXIでは、どこでデジタル化に取り組んでいるのかに関係なく、先進性を維持するために必要なパフォーマンス、拡張性、および俊敏性を獲得するために組織が取ることのできるデジタル化に関する正確なイニシアティブと手順を明らかにしています。

デジタルトランスフォーメーションへの道のりを大きく前進

グローバルインターコネクションインデックス 第4版は、企業のデジタルインフラストラクチャーおよびインターコネクション戦略を計画、設計、導入する際に、情報を提供し、刺激を与えるように構成されています。世界中の主要なデジタルビジネストランスフォーメーションの過程から学び、デジタルの成熟度を評価し、デジタル対応の次のレベルに飛躍することができます。

たくさんの競争優位性を確保するための重要なプロセス、情報があります  ̶  こちらをご覧ください。グローバルインターコネクションインデックス 第4版

[i] Equinix, “Global Interconnection Index Volume 4,” October 2020.

[ii] Reuters, “Zoom says it has 300 million daily meeting participants, not users,” April 30, 2020.

[iii] Forbes, “A Staggering Number Of People Saw Fortnite’s Travis Scott ‘Astronomical’ Event,” April 28, 2020. 

アバター画像
Jed Bleess Director, Equinix Research Group
Subscribe to the Equinix Blog