SAPのCEOであるクリスチャン・クライン氏が、新型コロナウイルス感染症が世界的に大流行する直前に、同社のお客様のオンプレミスSAPアプリケーションをクラウドに移行する計画を発表してから1年以上が経過しました。最近発表されたドイツ語圏SAPユーザーグループ(DSAG)の投資レポートによると、パンデミックの経済的影響にもかかわらず、ドイツ、オーストリア、スイスに拠点を置くDSAGの企業の39%が2021年にIT予算を増加しています。[i]
DSAGの調査レポートは、SAP S/4HANA®へのSAPのお客様の移行が徐々にではあるが着実に進んでおり、お客様の40%近くが今後3年以内での切り替えを計画していることも示しています。
エンタープライズネットワークの最適化:エクイニクス、SAP S/4HANA on Microsoft Azureを加速
エクイニクスは、デジタルインフラストラクチャこそが、お客様組織に競争上の優位性をもたらす最大の源であると考えています。デジタルリーダーは、真のネットワーク最適化を実現するため、基盤となるインフラストラクチャのインターコネクション(相互接続)を可能にする一元的な場所を必要としています。
ウェビナーはこちらSAPのお客様がアプリケーションをクラウドに移行する際に直面する課題の多くは、パンデミックに関連するものだけではありません。SAPのクラウド移行は、膨大で複雑な作業になる可能性があり、レガシーネットワークが移行の足かせの原因となっています。また、SAPのすべてのアベイラビリティーゾーンに対してアクセスポイントが少ないため、ユーザーがエッジでのアプリケーションにアクセスすることが困難になっています。これらの理由から、MicrosoftとSAPは、SAPのクラウド導入を加速できるよう独自のコラボレーションを行っています。
SAPがMicrosoftと提携して市場初のクラウド移行ソリューションを提供
MicrosoftとSAPの提携により、お客様はこれまでよりもはるかに簡単に、オンプレミスのSAPアプリケーションやERPソリューションをクラウドに移行できるようになりました。両社は、SAP HANAアプリケーションとSAP Cloud Platform on Microsoft Azureの導入を促進することを目的とした共同プログラム「Embrace」を通じて、クラウドへのお客様の移行を簡素化および最新化しています。
SAPの共同最高経営責任者であるジェニファー・モーガン氏は、Microsoftのプレスリリースの中で次のように述べています。「このパートナーシップの目的は、お客様がクラウドのSAP HANAアプリケーションに移行する際の煩雑性を軽減し、コストを最小限に抑えることです。SAPとMicrosoftという業界リーダー2社が力を合わせることで、お客様は安心と自信を持ってインテリジェントな企業への移行を効率的に進められるようになります。」[ii]
その一方で、SAPのお客様は、限られたネットワークリソースとレガシーのエンタープライズネットワークアーキテクチャという課題に直面しています。ネットワークのレイテンシは、お客様のSAPアプリケーションのパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるため、可能な限り低く抑えることが最重要課題です。お客様がSAPからAzureへの移行に着手する際に、安全で信頼性の高いデジタルインフラストラクチャ上に構築された、高性能で拡張性のあるハイブリッドマルチクラウドアーキテクチャを導入する必要があります。Microsoft Azure ExpressRouteおよびEquinix Fabric™を擁するPlatform Equinix®は、SAP HANA環境に移行するために必要なプライベート相互接続に加え、基盤となるインフラストラクチャのビルディングブロック(基礎的要素)を提供します。
エクイニクス – Microsoft AzureでのSAPクラウド移行における第3のパートナー
エクイニクスは、Microsoft Gold Cloud PlatformおよびAzure Networking MSPプログラムのメンバーとして、世界各地の32の都市圏でAzure ExpressRouteのパブリックノードをホスティングするとともに、米国では7拠点でAzure Government Cloudノードをホスティングするなど、世界中で合計39の導入拠点を構えています。Equinix Fabric™を介したこの充実した数のAzureアクセスポイントにより、Microsoft Azure上のSAP HANAアプリケーションやSAP Cloud Platformへの直接かつ安全な接続が可能になります。
Equinix FabricとMicrosoft Azure ExpressRouteを介したSAP HANAおよびSAP Cloud Platform接続
これらの実証済みの導入環境では、より優れたセキュリティと回復性を備えた高速かつ低レイテンシのプライベート相互接続が、SAPのお客様とAzure上のSAP HANAの間に確立されるため、AzureへのSAPの移行を遅らせる障害を取り除くことができます。その結果、ハイブリッドマルチクラウドアーキテクチャの導入が加速され、オンプレミスのSAPアプリケーションをAzure上のSAP HANAやその他のクラウドに移行する際の煩雑性が軽減されます。
お客様は、アプリケーションのクラウド隣接アーキテクチャを活用して、デジタルトランスフォーメーションイニシアティブを加速することもできます。たとえば、本番データベースなどのレガシーのオンプレミスシステムは、Azureに相互接続することで、オンプレミス環境とクラウド環境間のバックアップ/災害復旧/事業継続性ソリューションを提供できます。これにより、レガシーシステムの使用を拡張すると同時に、低コストのクラウドベースサービスへの移行に着手することが可能となります。また、SAP S/4HANA ERPなどのSAPアプリケーションの生産性と拡張性を向上させることもできます。
Platform Equinix上でSAPとAzureを相互接続するクラウドのユースケース
Platform Equinixは、次の図に示す、SAPとMicrosoft Azureのあらゆるクラウド導入モデル間でプライベートアクセスを可能にします。
SAPをクラウドで運用しているお客様は、Azure ExpressRouteとEquinix Fabricを導入することにより、SAP ERPなどのアプリケーションでハイブリッドマルチクラウドアーキテクチャを活用できます。ExpressRouteとEquinix Fabricを使用してAzure上のSAPにアクセスすると、ハイブリッド導入環境とワークロード移行シナリオからネットワークレイテンシと帯域幅の課題を取り除くことができます。その他のメリットは以下の通りです。
- Azure導入環境への安全な相互接続が拡張され、ビジネスプロセスの変革を目的としたクラウド移行が促進されます。
- ハイブリッドクラウドの導入が促進され、従来のオンプレミスのレガシーアプリケーションとクラウドのターゲットアプリケーションを並行して運用できるようになります。
- クラウド隣接アーキテクチャへのデジタルトランスフォーメーションを加速し、SAPランドスケープの最新化とWANアーキテクチャからSD-WANへの再戦略化が同時に実現します。
- Azure ExpressRouteを介したクラウドサービスの利用が増加し、分散エッジロケーションでのPlatform Equinix上のSAP移行を高速化します。
Azure ExpressRouteのグローバルな事業基盤、ネットワーク最適化の専門知識、層の厚いエンタープライズカスタマーベースに裏打ちされたエクイニクスは、SAP on Azureの導入を促進するのに適しています。SAP on Azureをエクイニクスのグローバルプラットフォーム全体で導入することで、企業がAzureに求める速度、拡張性、シンプルさに加え、既存のSAP環境に期待する一貫性と継続性が実現します。
5月26日午後2時(東部標準時)に開催されるウェビナー「エンタープライズネットワークの最適化:エクイニクス、SAP S/4HANA on Microsoft Azureを加速」では、SAPオンプレミスからSAP HANAおよびSAP Cloud Platformへの移行を加速する方法の詳細をご確認いただけます。
お客様のビジネスニーズに合わせてカスタマイズされたデジタルエッジ戦略ブリーフィング(DESB)をご希望の場合は、エクイニクスに直接お問い合わせください。DESBは、デジタルトランスフォーメーションを加速することを目的としたお客様中心のテクニカル戦略セッションです。AzureとSAPのビジネスインサイトと技術的な専門知識に基づいて、お客様が直面している主要な課題を特定するとともに、次世代アーキテクチャがデジタルエッジで競争上の優位性を促進する仕組みについてご説明いたします。
[i] 『DSAG投資レポート(2021年):IT予算の増加で危機に立ち向かう』(2021年1月21日)
[ii] Microsoft、『SAPがMicrosoftと提携して市場初のクラウド移行ソリューションを実現』(2019年10月20日)