アプリケーションとワークロードがマルチクラウドアーキテクチャに移行し、トラフィックが継続的に増大する中、企業や組織のIT部門は、スケーラブルで安全かつ効率的なリソースアクセスを実現するという課題に直面しています。コロナ禍によって在宅でのテレワークの採用が加速したことは、この課題の重要性をさらに高めました。その結果として、SD-WANベースのデジタルトランスポートをはじめとした機能の需要が日増しに高まっています。
エクイニクスとシスコはこれまで、SD-WANプライベート相互接続を介した直接かつ安全なハイブリッドマルチクラウドアクセスを可能にすることにより、「クラス最高」のSD-WANサポートに対する両社共通のお客様要件を満たすソリューションを共同で提供してきました。
Cisco SD-WAN Cloud Interconnect導入による自動化がPlatform Equinix®上のEquinix Fabric™およびNetwork Edgeサービスと統合された今、この機能によって強化される一般的なユースケースを確認しておく価値があると言えます。
Cisco SD-WANによってビジネスの優位性とマルチクラウドアクセスを確立
シスコとエクイニクスは、SDN、NFV、およびエッジ製品機能からなる緊密に統合されたポートフォリオを共同で提供し、ブランチ、マルチクラウド、ハイブリッドITの各ユースケースを対象とした、物理および仮想的な導入モデルから選択できるようにしています。
詳細はこちら迅速で動的に自動化された相互接続の展開を可能にするソリューション
まず定義から始めましょう。このブログでは、Software-Defined Cloud Interconnect(SDCI)と呼ばれる機能に焦点を当てます。SDCIは、Software-Defined Wide Area Network(SD-WAN)やSecure Access Services Edge(SASE)などの広く使われている他の用語と同様に、概念的なアイデアの頭字語です。SDCIは、企業や組織とクラウド、ネットワーク、およびインターネットサービスプロバイダへの接続を自動化できる一種の管理「ハブ」として考えることができます。このハブは、エンタープライズハイブリッドマルチクラウド アプリケーションを提供するための優れたネットワーク制御を実現します。
Gartnerは、『How to Optimize Network Connectivity Into Public Cloud Providers(パブリッククラウドプロバイダへのネットワーク接続を最適化する方法)』というタイトルのレポートの中で、SDCIについて次のように説明しています。「クラウドハブと同様に、SDCIベースのサービスは多くのIaaS、SaaS、ISP、およびキャリアに接続しますが、プライベート接続は通常仮想化されているため、CSPへの短期接続と長期接続の両方に加え、プロバイダに接続するための大小のポートサイズも柔軟にサポートできます。また、SDCIサービスは、従来の代替接続機能で発生したセキュリティ、課金、およびパフォーマンス関連の複雑な要件を簡素化するために、アクセス、WAN接続のサービス、補助サービスを提供することが多々あります。」[i]
SDCIを実装した実環境の例であるCisco SD-WAN Cloud Interconnectは、クラウドサービスプロバイダに迅速かつ安全な自動接続とともに、拠点間のエンドツーエンド接続のバックボーンを提供して、ハイブリッドマルチクラウドネットワークとプライベートハイブリッドネットワークの両方をシームレスにサポートします。
Cisco SD-WAN Cloud Interconnectは、ソフトウェア定義広域ネットワーク(SD-WAN)を使用してブランチなどのサイトと戦略的に配置されたPoP(Point of Presence)を相互接続し、サイト間およびサイトとクラウド間の接続を実現します。Equinix FabricおよびNetwork Edgeとの統合と自動化により、両社に共通のお客様は、世界中のすべてのSD-WANゲートウェイと接続の展開および管理を単一のポータルから行えるようになります。[ii]
シスコとEquinix FabricおよびNetwork Edgeとの統合によって、エンドツーエンドのSD-WANが提供され、Cisco vManageという単一のインターフェースを使用した導入、設定、および管理が可能になりました。シスコを実装しているエクイニクスのお客様は、Cisco vManageを使用して、Cisco Cloud Services Router(CSR 1000V)などの仮想ネットワーク機能(VNF)デバイスをNetwork Edge上に展開できます。Cisco SD-WAN Cloud Interconnectは、これらのVNFデバイスを構成してからEquinix Fabricの相互接続を動的に設定することによって、シームレスなユーザーエクスペリエンスを提供します。Cisco SD-WAN Cloud Interconnect with Equinixがもたらす主なメリットは次のとおりです。
- 本質的な冗長性—Equinix International Business Exchange™(IBX®)データセンター間のサイトアクセスの冗長性を活用し、シングルリージョンまたはマルチリージョンクラウドの冗長性(デュアルリンクとデュアルルータ)、アクティブ/アクティブネットワークの冗長性を実装するほか、ハイブリッドインフラストラクチャ(物理およびクラウド)の冗長性を実現できます。
- オンデマンドな高速接続—個々の接続を手動で確立するのではなく、エンドツーエンドの接続を動的かつ瞬時に確立します。
- 標準化された操作—ポータルを使用した自動ワークフローに基づいて、あらゆるクラウドや通信キャリアに接続できます。
- 一元的な可視化—Cisco SD-WANマルチクラウドモニタリングがエンドツーエンドの可視性をもたらします。
- 高可用性バックボーン—99.999%のアップタイムSLAを満たすEquinix Fabricプライベートバックボーンを使用することで、世界各地のリソースへの信頼性の高いアクセスが実現します。
- エンドツーエンドの自動化—完全な自動化フローを適用して、ブランチやユーザーを相互に接続したり、クラウドリソースに接続したりできます。
- 統合型サポート—SD-WANバックボーンを展開および拡張する際に、シスコとエクイニクスによるシームレスなサポートを利用できます。
エクイニクスベースのシスコソリューションが主要なトランスポートのユースケースをサポート
最近公開されたシスコのホワイトペーパーでは、Cisco SD-WANをエクイニクスのNetwork Edge経由で実装し、Equinix Fabricを使用して接続する方法が詳しく説明されています。[iii] このホワイトペーパーの中でシスコは、企業や組織が以下に示す1つ以上の問題に直面していると述べています。
- 複数の地域にまたがるパブリックインターネット経由の低品質な接続(重大なパケットロス、高いレイテンシ)
- クラウドサービスプロバイダのバックボーンに対する可視性の欠如
- 複数のクラウドおよびプロバイダ間でアプリケーションを考慮した適切なルーティングを実行できない
これらの問題の解決策として、シスコは、エクイニクスのNetwork Edgeを介してCisco SD-WANを仮想的に展開し、Equinix Fabricにパッケージ化することで、グローバルな都市圏間接続と複数のパブリッククラウドに接続するためのクラウドエッジを提供することを推奨しています。ホワイトペーパーの中でシスコは次のように述べています。「Cisco SD-WANとエクイニクスを組み合わせることで、SD-WANとグローバル接続を最大限に活用できます。」
現時点でのコラボレーションは、サイト間およびサイトとクラウド間の展開という2つの主要なユースケースシナリオをサポートしています。Cisco SD-WAN Cloud Interconnectでサポートされるシスコベースの環境の全体的なアーキテクチャ構造を説明するため、次のイメージ図に示すサイト間シナリオについて考えてみます。
エクイニクス経由のCisco SD-WANによるサイト間接続のユースケース
上記のサイト間ネットワークのトラフィック動作には、エクイニクスのインフラストラクチャを介さずにSD-WANが展開されるシナリオとの重要な相違点がいくつかあります。つまり、2つの地域間でパブリックインターネット経由のSD-WANトンネルを使用する代わりに、仮想Cisco SD-WANルータが稼働している、最も近い場所にあるエクイニクスのデータセンターにブランチからパケットが送信されます。次に、仮想Cisco SD-WANルータが別のSD-WANトンネルを使用して、Equinix Fabricのグローバルバックボーン経由でパケットを転送します。受信側のCisco SD-WAN仮想ルータは最終的な接続先にパケットを転送します。
Cisco SD-WANをエクイニクス環境に統合することで得られる利点としては、レイテンシの低減、一貫して堅牢なCiscoルータベースのセキュリティ、パス構成の大幅な簡素化に伴うセットアップの俊敏性の飛躍的な改善があります。
シスコとの共同開発によって市場機会が生み出されることは明らかです。世界中に数多く展開されたシスコベースの環境と、グローバルに相互接続されたエクイニクスのデータセンターからなるデジタルインフラストラクチャの組み合わせは、コスト削減とパフォーマンス向上のメリットをお客様に提供すると同時に、パートナーとサービスプロバイダには成長の機会をもたらしています。- エクイニクス グローバルアカウント管理担当シニアディレクター、デイブ・ローゼンバーグ
テクノロジの統合だけにとどまらないシスコとエクイニクスのコラボレーションの価値
エクイニクスとシスコは、協調的なソリューション開発のためのさまざまな方法を提供することに取り組んでいます。たとえば先月、Cisco Firepower Threat Defense Virtual(FTDv)とCisco Adaptive Security Virtual Appliance(ASAv)という2つの新しいCisco Security VNF機能がNetwork Edgeに追加されました。
Cisco SD-WAN Cloud Interconnect with Equinixの実装は、シスコとエクイニクスの複数フェーズからなるコラボレーションです。この最初のフェーズでは、Cisco SD-WAN Cloud Interconnect with Equinixを使用しているエクイニクスのお客様は、エクイニクスのすべてのサービスについて引き続きエクイニクスから支払い請求を受けます。また、動的ハイブリッドマルチクラウドネットワーキングインフラストラクチャの管理におけるSD-WANの真の可能性を引き出す強固な基盤がもたらされ、クラウドサービスとの相互作用の拡大と最新のラストマイルテクノロジへのアクセスが可能になります。今後のフェーズでは以下が期待されています。
- クラウド接続の拡充
- より多くのネットワーク機能とセキュリティ機能の統合
- 柔軟なコンサンプションモデルとサポートモデル
- アラームおよび通知サポートの拡張
お客様にもたらされる価値は、共同設計された統合と自動化の機能だけにとどまりません。両社に共通のお客様とパートナーは、販売およびサポート面でもシスコとエクイニクスの緊密な連携から恩恵を受けることができます。目標は、市場をリードするSD-WANソリューションを、同じく市場をリードするコロケーションプロバイダの柔軟なソフトウェア定義ネットワークと統合することにより、世界クラスのエクスペリエンスを提供することです。- シスコ グローバルセールス/SD-WANおよびルーティング担当マネージングディレクター、イヴァン・デュガン氏
高速で俊敏な接続をSD-WANで実現するという両社に共通のビジョンは、今日のお客様のビジネスにどのように貢献できるかを紹介します。Cisco SD-WAN Cloud Interconnect with Equinixがお客様の接続ニーズにどのように対応できるかについて、シスコ、エクイニクス、またはパートナーのアカウントマネージャにお問い合わせください。
エクイニクスとシスコのソリューションの詳細はこちら。
エクイニクスとシスコが連携してデジタルトランスフォーメーションのためのネットワーク基盤の構築をどのように容易にするかをビデオでご覧ください。
[i] Gartner、『How to Optimize Network Connectivity Into Public Cloud Providers』、Lisa Pierce/Danellie Young/Jonathan Forest著、2021年2月19日、ID G00741407
[ii] エクイニクス、相互接続、『Equinix and Cisco Optimize Software-Defined Cloud Interconnection』、2021年3月31日
[iii] Cisco Systems, Inc.、『SD-WAN ソリューション:Cisco SD-WAN および Equinix を使用したサイトークラウド間およびサイトーサイト間のユースケース ホワイトペーパー』、2021年4月15日