正確な時刻同期インフラストラクチャは、データセンター内のさまざまなアプリケーションに重要なサポートを提供しますが、モニタリングとレポート作成の堅牢なツールがなければ信頼性の高いサービスは提供できません。これらのツールを活用することで、タイミングインフラストラクチャが確実に設計仕様どおりに機能し、同期の精度と可用性に関するサービスレベルアグリーメント(SLA)を確認できます。エクイニクスは、Equinix Precision Time(EPT)サービスに対応した広範なモニタリングおよびレポート作成ツールを実装して、精度と可用性の要件が確実に満たされるようにしています。独立系調査会社による最近の調査では、エクイニクスがSLAを上回っていることが確認されました。エクイニクスは、可用性の向上とEPTへの仮想接続の両方を実現する新機能を最近リリースしています。
FINRAの規制コンプライアンスルールに準拠する必要がある金融機関は、インフラストラクチャ全体を50ミリ秒以内に同期する必要があります。MiFID IIのコンプライアンス要件を満たす必要がある組織には、100マイクロ秒というさらに厳しい同期精度要件が課されています。エクイニクスは、世界中のEPTハードウェアタイミングシステムインフラストラクチャのすべての設置場所に広範なモニタリングおよびレポート作成ツールを展開して、システムのタイミング精度と障害の有無に関するモニタリング、レポート作成、およびアラート生成をリアルタイムで行っています。さらに、安全性の高いプライベートインターコネクション(相互接続)ネットワークであるEquinix Fabric™を使用して、すべての地域のさまざまな都市圏に広範なSLAモニタリングインフラストラクチャを通じて配信される時刻の同期精度をモニタリングしています。
安全性と信頼性に優れた高精度の時刻同期
Equinix Precision Timeは、グローバル規模で正確かつ信頼性の高いTime-as-a-ServiceアプリケーションをEquinix Fabric経由で分散システムに提供します。
詳細はこちら世界各地の14以上の都市圏をカバーするモニタリングツール
エクイニクスのSLAモニタリングツールは世界中の広範な地域をカバーします。そのため、世界各地のさまざまな都市圏でPrecision Timeサービスを利用しているお客様は、高精度で安全かつ信頼性の高い時刻同期を運用中のデータセンターで実現できます。SLAモニタリングツールは、現時点で18を超える都市圏に展開され、40を超えるクライアントによってサポートされています。エクイニクスでは、お客様から期待される信頼性の高い時刻サービスを提供できるよう、他の都市圏への展開も継続的に拡大しています。次の例は、ニューヨークとシリコンバレー間の典型的なSLAモニタリング設定を示しています。
EPTがSLAを上回っていることを独立系調査会社が確認
エクイニクスは最近、時刻および周波数同期を専門とする独立系調査会社に委託して、すべての地域にわたる18の都市圏からのSLAモニタリングデータを分析し、PTPサービスのSLAに定められた精度レベルをPrecision Timeサービスがどの程度満たしているかを報告するよう、この会社に依頼しました。
調査では、2種類のPTPクライアント(PTP対応のスマートネットワークインターフェースカードを搭載した標準的なコンピューティングサーバーと、クロック回復用に高度に最適化されたサーボ機構を持つ専用のPTPクライアント)を使用して、さまざまな場所で時刻同期データを継続的にモニタリングして記録しました。どちらのタイプのクライアントデバイスも良好に機能しましたが、最適化されたサーボ機構を持つ専用のクライアントデバイスの方が時刻同期の精度が高いことがわかりました。高周波ノイズを除去するためにフィルターを必要とするPTP対応NICカードを搭載したコンピューティングサーバーとは異なり、ノイズを除去するために0.1Hzフィルターによるポストフィルタリングを適用する必要はありませんでした。また、この調査の一環として、Network Time Protocol(NTP)の同期精度も分析しました。
この分析では、すべての都市圏の最大時刻誤差を計算し、SLAモニタリングデータから同期の精度を評価しました。ニューヨークとシリコンバレー間の時刻同期の精度については、タイミングソースとクライアント間の距離が長いため、SLAを満たすのがはるかに困難でした。ニューヨークの時刻ソースにローカルに接続しているニューヨークのクライアントでは、最大3マイクロ秒の時刻誤差が観察されました。ニューヨークの時刻ソースと同期しているシリコンバレーのクライアントの最大時刻誤差は9.2マイクロ秒でした。また、誤差の確率分布に「ロングテール」があることも確認されました。具体的には、時刻誤差が最大観測値の75%を上回ったのは、モニタリング対象データの2%未満にとどまりました。これは、ニューヨークとシリコンバレーの両方のクライアントが、最大時刻誤差よりもはるかに高精度の時刻同期を98%の確率で行ったことを意味します。この調査の結果が示しているとおり、PTPのEquinix Precision Timeサービスの精度レベルは、SLAで保証されている50マイクロ秒の精度レベルよりもはるかに優れていることを示しています。NTP SLAモニタリングデータでは、すべての都市圏で30~50マイクロ秒の最大時刻誤差が観察されました。これは、一般的なNTP展開環境の許容範囲内でもあります。堅牢なタイミングアーキテクチャと低レイテンシ/低ジッターのEquinix Fabric相互接続により、このレベルの精度がPrecision Timeサービスで可能になります。
ニューヨークとシリコンバレー間のPTA SLAモニタリング結果
ニューヨークとニューヨーク間(都市圏内)のPTA SLAモニタリング結果
Qulsar社のCTOがEPTの時刻同期アプローチの妥当性を確認
ネットワーク経由の同期の目的は時刻標準を再現することであるため、時刻標準を利用できることが必要となります。それでは、時刻標準を利用できるのならば、なぜネットワークを介してクロックを同期する必要があるのでしょうか。Qulsar, Inc.のCTOを務めるキシャン・シェノイ博士は、次のように述べています。「この難問に対する実際的な解決策は、クロック誤差振幅の信頼できる推定値(ピーク間誤差や最大相対時刻誤差など)を提供するクロック回復サーボアルゴリズムを備えた、優れたPTPクライアントを用意することです。PTPクライアントは、ネットワークの非対称性に起因する一定の時刻誤差を認識できないため、絶対誤差は推定できません。ただし、綿密に設計されたネットワークを適切にモニタリングして管理することにより、非対称性の定期的なキャリブレーションのみを行えば済むようになります。継続的なモニタリングと優れたサーボ機構により、十分な信頼性を持ってギャップを埋めることが可能です。これこそがEquinix Precision Timeで採用されている優れたアプローチです。」
シェノイ博士は、EPTにおいてEquinix Fabricが重要な役割を果たしていることも評価し、次のように述べています。「(Equinix Fabricは)PTP非対応ですが、一桁マイクロ秒のピーク間精度でPTPベースの同期をサポートします。ルーティングを制御することで、ルート変更時の非対称性の変化を小さく抑えることができます。このように正常に動作するネットワークでは、広域のネットワーク全体で非対称性を測定することで、サブネットワークにおける一定の時刻誤差を織り込んだ信頼性の高い同期品質の上限値を得ることができます。EPTは適切な場所にプライマリリファレンスタイムクロックを設置することで、これを行えるようにしています。」
新機能による可用性の向上と仮想接続のサポート
エクイニクスは、Precision Timeサービスの拡大と強化を世界中で絶えず行っており、モニタリングとレポート作成を強化することに加えて、サービスの地理的範囲も拡大し続けています。最近では、可用性のSLAを99.999%に向上させるため、Equinix Fabricのポート冗長サービスオプションをリリースしました。また、仮想ネットワークサービスのNFVプラットフォームであるNetwork Edgeを介してEquinix Precision Timeサービスに接続する機能も追加しています。これらの機能強化の詳細については、こちらの簡単なスポットライト動画でご確認いただけます。Equinix Precision Timeは、データセンターまたはクラウド導入でのミッションクリティカルなアプリケーションに最適です。無料トライアルでEPTを試して、直接お確かめください。