デジタルインフラストラクチャを簡素化し、イノベーションと俊敏性を促進

デジタルリーダーは、デジタルインフラストラクチャプラットフォームを一本化することで得られる利便性によってトランスフォーメーションを加速し、運用の複雑さを軽減しています

Simon Abrahams
デジタルインフラストラクチャを簡素化し、イノベーションと俊敏性を促進

デジタルインフラストラクチャの役割は過去2年の間に、基盤となる実現要素からビジネスクリティカルな差別化要因へと不可逆的に変化しました。その過程で私たちは、組織の戦略を状況に応じて変更する能力がビジネスの存続に不可欠であり、それをできるかどうかは完全にデジタルインフラストラクチャ次第であるということを痛感させられました。

今日のデジタルリーダーは、提携パートナーが豊富でコマースに対応したシンプルかつ俊敏な環境を実現することに重点を置いています。自社開発と市販の両方のソフトウェアに適したセルフサービスの物理インフラストラクチャとデジタルインフラストラクチャを、一貫した方法で使用できるようにすることがその狙いです。『エクイニクス テクノロジートレンドに関するグローバル調査(GTTS)(2020~21年度)』によると、デジタルリーダーの10人に6人(58%)が、パンデミック後のビジネスをより俊敏なものにするためのテクノロジーへの投資を計画しています。

デジタルインフラストラクチャの進化を推進し、Platform Equinix®開発ロードマップの方向性を決める要因となっているお客様の優先事項を探るシリーズの第一弾となるこの記事では、簡素化によって信頼性、セキュリティ、俊敏性、拡張性が実現する仕組みについて詳しく見ていきます。

デジタルインフラストラクチャの集約

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至る所に見られる過去から蓄積された複雑性

私たちの多くが長年の間に身の回りにものをため込んでしまうのと同様に、組織のインフラストラクチャも時間が経つにつれて雑然とした状態になります。いずれの場合も、散らかったものの中には、日常的に使うものや自家製のアイテム、一握りの貴重品のほか、多数の不要な贈り物や失敗した購入品が含まれます。

個人の家であるか組織のデータセンターであるかを問わず、散らかったものを整理する作業は非常に多くの時間と労力を要するため、避けられなくなるまで先送りされることがほとんどです。インフラストラクチャの場合は、整理を先送りすると深刻な問題になります。重要なシステムが複雑になりすぎて(十分に理解できなくなり)、日常的なメンテナンスが高難度の試練と化してしまうからです。

複雑化に拍車をかけているクラウド

クラウド採用の初期の頃はサービスとしてのITが、インフラストラクチャを簡素化する強大な力になるであろうと考えられていました。必要なときに必要な場所でリソースを展開し、必要な期間使用した後は、リソースを削除して支払いを停止できるという仕組みです。

その仕組みはおおむね事実でしたが、誰も予想していなかったのは、クラウドサービスがいかに短期間で複雑化するかということでした。クラウドサービスの大成功により、クラウド製品の範囲は、その複雑な料金設定モデルとともにますます拡大しています。それと同時に、組織は(多くの場合、もっともな理由があって)、数十のSaaSサービスに加えて複数のIaaSおよびPaaSプロバイダも利用しています。また、一部のシステムをパブリッククラウドから分離することを好みつつも、それらのシステムがパブリッククラウドと連携できるようにもしています。インフラストラクチャを取り巻く、すでに困難な状況がパブリッククラウドによってさらに複雑化したことは間違いありません。

簡素化を望んでいる組織は依然として多い

エクイニクスが話しを聞いた組織の多くは、お客様にインフラストラクチャを提供する方法を簡素化する必要に迫られています。その多くは、より迅速にイノベーションを起こし、より俊敏にビジネスチャンスに乗じなければならないという競争圧力を感じ、インフラストラクチャを簡素化することが飛躍のための答えであると認識しています。

また、効率性と互換性を高めるために、複数のビジネスユニットや地域にわたってアーキテクチャと運用プロセスを標準化しようとしている組織もいます。ここでもまた、簡素化は経済的メリットをもたらす重要な手段と見なされています。

基盤から始める

簡単に再現できること、つまり、実績あるインフラストラクチャソリューションをある場所から別の場所に「コピーアンドペースト」できるようにすることは、組織から頻繁に寄せられる一般的なリクエストの一つですが、これまで実現は不可能でした。環境はそれぞれ異なるため、各ソリューションを個別に設計する必要がありました。

ただし、基盤となるインフラストラクチャから簡素化を始めて、それに続く各層でも続けると、このレベルのユビキタス性を実現することが可能です。ある程度の労力とエンジニアリングの専門知識が必要ですが、このアプローチを採用することで、簡素化の主なメリット(標準化、モジュール性、再利用性など)が環境全体で維持されます。

エクイニクスのお客様は、何十年にもわたり、Platform Equinix®の設計に組み込まれたシンプルさに基づいて独自の簡素化を実現してきました。お客様がこれまで重点を置いてきたEquinix International Business Exchange™(IBX®)データセンターの予測可能なエクスペリエンス、セキュリティ、および運用の卓越性は、迅速な導入が可能で標準化されたSecure Cabinet Expressなどの新しい製品にも共通に組み込まれるようになっています。

同時に、デジタルエコシステムの重要性が高まったことで、市場の注目はデータセンターの予測可能性からインターコネクション(相互接続)のユビキタス性へとシフトしています。パブリックインターネットを介さずに、ソフトウェア定義の相互接続であるEquinix Fabric™を使用して、1万を超えるPlatform Equinix®エコシステム参加者にオンデマンドで相互接続する機能は、インフラストラクチャの簡素化における大きな前進であると言えます。2020~21年度のGTTSによると、デジタルエコシステムへの接続が相互接続のメリットであると答えたデジタルリーダーの割合は、2019~20年度のアンケートのほぼ2倍になっています(11%から21%に上昇)。

経営トップが方向性を決めることが重要

当然のことながら、簡素化の最大の障壁は、克服するのが最も困難な人的要因です。自分たちの自律的な運用と独自ソリューションの設計を好む風土や、単純に自社開発以外のものを疎むバイアスはいずれも、簡素化への道を険しくする可能性があります。そのため、簡素化には強力なリーダーシップが必要です。

組織の文化によっては、標準ソリューションの絶対的な使用を厳密に義務付けることが成功につながる場合があります。よりリベラルな環境のリーダーは、これと同じ結果を達成するためのより緩やかな手段として、利便性とスピードを前面に打ち出しています。つまり、Network Edgeの仮想ネットワークデバイスやEquinix Metal™ベアメタルサーバーなどのデジタルソリューションを全世界に数分で展開できる(物理的に展開する場合は数週間または数か月かかる)という事実は、デジタルソリューションの簡素化および標準化すべき大きな動機付け要因となります。また、デジタルインフラストラクチャを適切に統合することで、「コピーアンドペースト」形式の簡単な展開が現実のものとなります。

インフラストラクチャの簡素化に強力なリーダーが必要となる最後の理由は、勢いを維持することです。簡素化には絶え間ない努力が必要です。複雑さが入り込む恐れが常にあるため、何かを達成すれば終わる作業ではなく、永続的な取り組みが求められる改革としてとらえることが重要です。

幸いなことに、簡素化を推進するために必要となる強力なデジタルリーダーは、その真の価値を理解している人でもあります。簡素化の価値は、表面的なコスト削減と効率性の向上だけではありません。イノベーションの加速と俊敏性の劇的な変化によっても、新しい市場を開拓し、新しい能力を促進して、組織の変革に大きく貢献します。

トランスフォーメーションの加速と競争力の強化に重点を置くデジタルリーダーは、デジタルインフラストラクチャを有効に活用しています。デジタルインフラストラクチャの未来に対するエクイニクスのビジョンの詳細をご覧ください。

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