Earth Day 2022のテーマは、”Invest in Our Planet (地球に投資しよう)” です。これは、エクイニクスが提唱する「Data Center of the Future(未来のデータセンター)」のイニシアチブと合致するものであり、私たちは誇りを持ってこのテーマを支持します。持続可能なデータセンター技術への投資は、地球の未来のために行うべき正しいことであるだけでなく、現在のお客様にとってもビジネス価値の重要な源泉となり得ると信じています。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンス傘下の調査会社である451 Researchが発表した調査レポート 「Ten tech trends driving transformation in 2022(2022年に変革をもたらす10の技術トレンド)」[1]には、私たちの考えを裏付けるさらなる洞察が示されています。同レポートによると、コロケーションプロバイダの活用を検討する企業にとって、持続可能性について79%が「非常に重要」または「やや重要」と評価しています。同レポートでは、このような需要に対応するコロケーションプロバイダの革新的な方法について、次のように紹介しています。
「企業がより持続可能な経営を目指す中、パブリッククラウドの利用はIT効率を劇的に向上させる方法の1つです。しかし、クラウドへの移行を望まないワークロードにおいて、リースデータセンターが別の選択肢を提供し、典型的な老朽化したエンタープライズ向けデータセンター以上に効率的なインフラを提供しています」
2022年の変革を促す10のテクノロジートレンド
本レポートでは、S&P Global Market Intelligenceの傘下にある451 Researchが、2022年に業界を牽引するトップ技術トレンドとテーマを取り上げています。
アナリストレポートをダウンロードエクイニクスは、サステナビリティの目標達成に向けて前進していることを誇りに思う一方、やるべきことはまだまだ山積みです。このブログでは、「Data Center of the Future」の5つイニシアチブの主要原則を紹介し、当社の事業をより持続可能に、またお客様のビジネス価値の向上という目標をそれぞれどのように支えているかを紹介します。
データセンター業界が直面している気候変動やサステナビリティの課題は、1つの組織だけで取り組むにはあまりにも複雑だと考えています。そのため、ワシントンD.C.地域のCo-Innovation Facility(CIF)で、主要なパートナーの協力を得て、「Data Center of the Future」のコンセプトを開発しています。
1.発電機不要のデータセンター
エクイニクスがワシントンCIFで開発している技術に、発電機不要のデータセンターがあります。Bloom Energyとの提携により、従来のディーゼル発電機や消費電力の大きい無停電電源装置(UPS)に代わるものとして、固体酸化物燃料電池の試験を行っています。この研究は、データセンターにとってよりクリーンで効率的な主電源への第一歩になると信じています。
CIFでの取り組みに加え、当社は6つの企業とともにEcoEdge PrimePower (E2P2) コンソーシアムに参加し、低炭素型燃料電池のさらなる開発を支援しています。2021年12月には、このコンソーシアムの共同提案により、欧州委員会のHorizon 2020プログラムの一部であるClean Hydrogen Partnershipから250万ユーロの助成金を獲得ました。
この燃料電池は、独自の3燃料設計を採用しており、天然ガス、グリーン水素、液化石油ガス(LPG)のうち、現地で利用可能な燃料源を消費することが可能です。これらの燃料はいずれも既存のパイプラインで輸送することができるため、高価なインフラストラクチャのアップグレードなしに、データセンターに容易に組み込むことができます。
従来の発電機を燃料電池のような代替電源ソリューションに置き換えることは、二酸化炭素排出量を削減するだけでなく、資本コストの削減、データセンターのフットプリントの縮小(人口密集地にも容易に設置可能)、メンテナンスに必要な時間とリソースの最小化にもつながります。
2.再生可能エネルギー
昨年、エクイニクスはデータセンター事業者として初めて、2030年までに気候中立企業になることを約束しました。この目標を達成するため、当社は科学的根拠に基づく目標(SBT)を設定し、事業全体とサプライチェーン全体で排出量を削減することにしました。二酸化炭素排出量を削減し、電力使用効率(PUE)を向上させることで、気候変動による最悪の事態を防ぐための一翼の役割を果たすことを目指しています。
当社の気候変動に対する中立性の目標の重要な要素の一つは、2030年までに既存および将来のデータセンターにおいて再生可能エネルギーを100%利用できるようにすることです。このコミットメントを正式に表明するために、EU Climate Neutral Data Centre Operator Pact [2]の策定を主導し、その創設署名者となりました。この協定は、民間企業の強いコミットメントと政府の政策提言を含む、業界の自主規制イニシアチブです。
それ以来、私たちはこの目標に向けて大きく前進し、2021年には再生可能エネルギーの消費量が95%に達しました。私たちは、フィンランドのビョークリデン風力発電所と最近締結したような風力電力購入契約(PPA)を含め、地域の利用可能性に基づいてさまざまな再生可能エネルギーを追求することによってこれを達成しました。[3] このクリーンなエネルギーは、お客様のIT機器と当社のオーバーヘッド負荷の両方に使用される予定です。
3.エアフローマネジメント(気流管理)技術
エクイニクスのデータセンターでは、供給通路に冷たい空気(データセンターの機器を冷却し正常に機能させるため)、排気通路に熱い空気(データセンターから廃熱をできるだけ早く取り除くため)を閉じ込めるための物理的な障壁を設けています。冷気通路と熱気通路の間で空気が混ざり合う量を最小限に抑えることで、冷却空気を最も効率的に分配し、冷却に充てる電力量を最小限に抑えることができるのです。
エアフローマネジメント技術は世界中のエクイニクス施設で導入されていますが、シンガポールのエクイニクスIBX®施設など、温暖な気候にあるデータセンターで特に効果を発揮しています。
4.高密度冷却
かつて、データセンター業界の冷却ニーズを十分に満たすには、従来の空冷方式で十分でした。しかし、技術の進歩に伴い、その技術をサポートするために必要なハードウェアの電力密度は高まっています。つまり、特にAIのような電力密度の高い新しいテクノロジーの場合、空冷だけではもはや十分でない可能性があるのです。エクイニクスは、研究、試験、エコシステムパートナーシップに投資し、当社のデータセンター全体で液冷方式の採用を推進しています。
データセンター業界における液冷の導入は、これまでのところ「卵か鶏か」の問題によって制限されています。つまり、液冷の普及を実現するためには、2つの側面より行動しなければならないのです。
- ハードウェアメーカーは、液冷対応サーバーを大規模に構築することを約束
- コロケーションプロバイダは、実用的かつ機械的な観点から液冷をサポートすることを約束(冷却システムを構築し、それを維持するための熟練労働者を提供)
エクイニクスは、CIFにおけるZutaCoreとの協力に見られるように、コロケーションの側面からその役割を担っています。私たちは、コンパクトかつ水を使わない設計で、ラックあたり100kW以上の冷却が可能な高効率ラックシステムをテストしています。これらの高密度液冷システムは、エネルギーと水の使用量を最適化し、データセンター施設の設置面積を縮小するのに役立つと期待されています。
また、ハードウェアの面でも協業しています。私たちは、さまざまな業界のリーダーが参加するオープンソースのハードウェアプロジェクト「Open19」[4]に参加し、液冷システム用の新しい「プラグアンドプレイ」カプラの開発をサポートしています。浸漬型、単相(液体のまま利用)、二相(液体から気体への相変化を利用)といった主要な液冷技術をすべてサポートできる業界標準の設計を作ることで、業界全体の液冷導入の障壁を低くすることができると考えています。
5.インテリジェントな電力管理
データセンターにどのような技術が導入され、どのようなエネルギー源が使用されていても、手動による電源の監視や供給方法ではエネルギー効率を最大化することは不可能です。センサーを導入してエネルギーの無駄遣いの可能性を特定し、ソフトウェア管理プラットフォームを活用して適宜調整することで、「Data Center of the Feature」は、最も効率的かつ均一な方法で機器に電力を供給できるようにします。つまり、適切な量の電力を適切な場所に適切なタイミングで供給することを可能にします。
その一例が、VPS社との協業によるソフトウェア定義型電源管理ソリューションの開発支援です。Natron Energyと共同開発したキャビネットマウント型のバッテリー蓄電ソリューションと併用することで、ソフトウェア定義の電力ソリューションが電力消費を管理し、電力ストランディングをほぼ0%に抑えることができます。このソリューションを適切に使用することで、データセンターの電力効率を最大30~50%改善できると推定しています。
エクイニクスが未来のデータセンターを実現
今回紹介したアイデアの多くはまだテスト段階ですが、エクイニクスが今日、サステナビリティの実践に取り組んでいる他の例もあります。例えば、ボルドーにあるBX1データセンターは、モジュール式の「Green by Design」建設プロセスを用いて建設された当社初の施設です。BX1は、従来のデータセンターよりもはるかに短期間で建設できることに加え、複数のエネルギー源と環境に優しいエネルギー貯蔵をサポートできる分離型エネルギープラットフォームを使用しています。
BX1のデザインはモジュール式であるため、世界中の新しいロケーションに簡単に複製することができます。また、環境規制へのコンプライアンスも確保できるため、データセンターの新規建設に慎重になっている地方自治体の懸念も軽減されます。
サステナビリティは、意外なところでもエクイニクスの文化に根付いています。パリにある当社の新しいPA10データセンターには、画期的な熱回収プロジェクトが含まれており、お客様の機器から出る廃熱を地域の暖房ネットワークで再利用できるようにするものです。さらに、この新しいデータセンターには水回収システムを備えた屋上温室があり、雨水の保持に役立ち、下水道への水の流入量を最小限に抑えることができます。
アイルランドでは、地元の学校に果樹園を送るプログラム「Orchards in the Community」に参加しています。このプログラムにより、子どもたちは花粉媒介者を守ることの重要性を直接学ぶことができます。「Orchards in the Community」[5]は、データセンタープロバイダが協力して地域のミツバチの数を保護し、アイルランド全土で生物多様性の拡大を支援する業界イニシアチブ「DC for Bees」の一環として行われています。
ITトランスフォーメーションを推進するその他のトレンド
エクイニクスが持続可能なイノベーションを追求するのは、それが世界の未来にとってベストだからというだけでなく、当社のビジネスと今日のお客様にとってベストだからです。451 Researchが発表したレポートにあるように、効果的なデジタルトランスフォーメーションを実現し、ディスラプションを克服するためには、持続可能なオペレーションが不可欠です。2022年のトランスフォーメーションを推進する主要なトレンドについては、451 Researchのこちらのレポートよりご確認ください。
関連ブログ:
[1]Driving Innovation in 2022 and Beyond (英語)
[2]Building Towards Global Climate Neutrality(グローバルでのクライメイトニュートラルを目指して) (日本語)
[3]The Data Center of the Future Begins in France (英語)
[4] Open19
[5] Data Center Dynamics, “Equinix joins orchard initiative in Ireland”. Dan Swinhoe, April 2022.(英語)
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