約1年前、「Equinix Fabricがデータセンターのインターコネクション(相互接続)をサポートする仕組み」というブログで、企業が世界各地のパートナーやアプリケーションと相互接続できる方法をご紹介しました。デジタルリーダーが変化の目覚ましい世界に適応し成功するには、仮想接続をどのように設定できるか、またロケーション間のデータ移動をいかに迅速、安全かつ確実に実施できるかが重要であることをお伝えしました。
それ以来、Equinix Fabricの開発チームは、お客様のデータセンターの相互接続ニーズにさらに柔軟に応えられる新たなイーサネットサービスオプションを提供するべく研究を重ねてきました。その成果として、Equinix Fabricを使用されるお客様は、イーサネットスイッチLAN(E-LAN)技術によるマルチポイントツーマルチポイント方式のデータセンターインターコネクションを初めてご利用いただけるようになります。本日、この発表に至ったことは非常に光栄です。
デジタルインフラストラクチャをソフトウェアの実行スピードで接続
ハイブリッド運用をスケーリングし、ネットワークの俊敏性を確保し、パートナーやプロバイダに簡単かつセキュアに直接接続します。
マルチポイントツーマルチポイント方式のネットワーキングは、各ロケーションのデータセンター間を直接接続する必要はなく、共通のネットワークで相互接続するものです。E-LAN機能により、企業は迅速かつ容易にフルメッシュ型ネットワーク接続を展開することができます。これは、双方向帯域によって各地に分散する自社データセンター間でどの方向にも送信できるデータトラフィックの実現を意味します。
データセンターの経済的な相互接続がグローバル規模で可能に
マルチポイントツーマルチポイント接続は、Equinix Fabricが利用できるすべてのEquinix IBX®データセンターにおいて、専用のレイヤ2ネットワーク経由で利用できるようになります。現在、5大陸の50都市圏以上を網羅しており、次々と新たなロケーションが追加されています。Equinix Fabricをご利用中のお客様は、すでにすべてのロケーションでソフトウェア定義の相互接続機能のご利用が可能です。これに加え、マルチポイントツーマルチポイント接続のリリースにより、多くのロケーション間で簡単にデータの同時移行ができる選択肢が手に入ります。
デジタルインフラストラクチャを世界中に展開している大手企業にとって、マルチポイントツーマルチポイント接続のコスト効果は非常に高いと考えられます。その理由は、各ロケーション間の直接接続を設定および管理する必要がなくなるからです。下の図に示すように、5つの都市圏のデータセンターをわずか5本の仮想接続で共有ネットワークに接続することも可能です。
5か所のデータセンターロケーションのEquinix FabricによるEVP-LANネットワークへの接続
各都市圏のデータセンターから、別の都市圏のデータセンターに同じ仮想接続でデータを送信することができるようになります。誰かの発言を全員が聞くことのできるビデオ会議のようなものを想像してください。一方、ポイントツーポイント接続は、ある人が別の人に電話でメッセージを伝えるようなものです。
ポイントツーポイント接続方式の場合、上図の各ロケーションが別のロケーションに接続するにはそれぞれ専用の仮想接続が必要です。この例では、5本ではなく10本の仮想接続を管理しなければならないことになります。その10本の接続にそれぞれ個別のVLANが必要になるため、複雑さが増し、コストも高くなることは避けられません。
3か所以上のロケーションのデータセンターを相互接続しようとする企業にとって、マルチポイントツーマルチポイント接続は、ポイントツーポイント接続よりも明らかに価格面のアドバンテージがあります。ロケーションを追加すればするほど、フルメッシュ型ネットワーク接続のビジネスケースは強力になります。さらに、ネットワーク設定にコストはかからないため、ネットワークにつなげる仮想接続に支払うだけで済みます。つまり、実際に使用する接続分を支払うだけで、事業ニーズの変化に応じて接続の追加や解消ができる柔軟性も得られます。
Equinix Fabricは、各種ユースケースに対応するさまざまな相互接続オプションを提供します
Equinix Fabricのマルチポイントツーマルチポイント接続は2種類の方法で提供され、それぞれ最適なユースケースが異なります。
- EVP-LAN: VLANベースで提供されるオプション。現時点では、2022年10月Equinix Fabricソフトウェアリリースとして提供中。
- EP-LAN:ポートベースで提供されるオプション。今後のリリースで提供予定。
EVP-LAN接続オプションは、VLANを用いてデータトラフィックを分けることができるものです。EVP-LANを利用されるお客様は、Equinix Fabricポートの各々からマルチ接続を設定できるようになります。例えば、特定のポートを、1本のVALNでEVP-LANネットワークに、もう1本のVLANでクラウドプロバイダに同時に接続することが可能です。このように、ネットワーク上にある他のすべてのデータセンターロケーションが、同じクラウドプロバイダに間接的にリンクできるようになります。
EVP-LANでマルチ接続したEquinix Fabricポート
一方、EP-LAN接続を利用した場合、特定のポートからのトラフィックを分ける機能を使用せずに、オープンで透明性のあるネットワークを確立することができます。企業がMACsec暗号化機能を活かすためには、ネットワークを完全に透明化する必要があります。これは、転送中の暗号化を確保したい機密性の高いデータには、EP-LANが唯一有効なオプションであることを意味します。
さらに、VLAN「中継」に対応できるのもEP-LANに限られます。つまり、それぞれのVLANに別々の接続を用意しなくても、ネットワーク上で好きなだけVLANを使用することができます。ケースによっては、VLAN中継によってロケーションから別のロケーションに大量のデータを効率よく移行することができます。ここでも、EP-LANが合理的な選択肢になるということです。
結局、EVP-LANかEP-LANかの選択は、制御性をとるか透明性をとるかのトレードオフです。言い換えれば、具体的なユースケースのニーズに最適なオプションを選べる自由を、お客様に享受していただけるということです。
今すぐEquinix Fabricを始めましょう
マルチポイントツーマルチポイント接続オプションのリリースは、データセンターの相互接続をグローバル規模で考える企業にとって一歩前進できる重要なステップですが、Equinix Fabricチームはそれでは終わりません。これからも、お客様が自社のネットワークトポロジのオプションを増やし制御性をさらに高めることができるように、新たなイーサネットサービス機能を追求し続けていきます。今後のリリースの一環として、今回の新機能を発表できることは光栄です。
それまでの間、「Equinix Fabricガイドを読む」で詳細をご確認いただければ幸いです。また、EVP-LAN経由のマルチポイントツーマルチポイント接続の詳細は、「10月のソフトウェアリリースに関するドキュメンテーション」に掲載しています。
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