クラウドデータに対するEquinix Fabricの性能メリットがベンチマークで明らかに

エクイニクスとオラクルは共同で、クラウド間のデータ移行ワークロードの性能向上を実証

Pragnesh Panchal
クラウドデータに対するEquinix Fabricの性能メリットがベンチマークで明らかに

社内システムへのデータ流入量は、IoT、AI、5Gなど台頭するテクノロジーによって爆発的に増え続けています。こうしたデータは、チャンスと課題の両方をもたらします。意思決定の判断材料となる情報が増えるという点で、データには明らかなビジネス価値があります。しかし、企業が膨大なデータに振り回されないようにするためには、データを丸ごと移行・保存できる新たなアプローチも必要です。

大規模データベースがますます一般的になってきている状況で、企業はデータ容量のニーズを満たす解決策をクラウドサービスに求めています。「2022年テクノロジートレンドに関するグローバル調査(GTTS)」によると、ITリーダー企業の71%が今後1年でさらに多くの機能をクラウドに移行する計画だと話しています。うち65%は、他のどのクラウド機能よりも多くデータベースを移行すると回答しています。

クラウドデータベースを最大限に活用するには、クラウドとデータをやりとりする確実で高性能な方法が、1回限りと常時の両方で求められます。そうした企業の多くは、Equinix Fabric®のようなプライベートなインターコネクションサービスを利用することでニーズを満たしています。GTTSによると、ITリーダー企業の59%が2022年にインターコネクションへの投資を増やす計画です。

 

 

当レポートの日本語参考訳が必要な方はこちらにお問い合わせをお願いします。

Equinix Fabricの性能をパブリックインターネットとの比較で計測

Equinix FabricのESGテクニカルレビューにおいて、Equinix Fabricはパブリックインターネットサービスと比べて高性能な使いやすいソリューションであることが示されました。

アナリストレポートのダウンロードはこちら
Screen Shot 2022-10-16 at 11.59.05 PM

インターコネクション(相互接続)は送信元から送信先まで1本の専用ルートをたどりますが、インターネットによるトラフィックはその経路上で予測不能なパブリックゲートウェイをいくつも通過していかなければなりません。このため、データベースのバックアップやリカバリのようなデータの重いワークロードにインターネットを使用するのは、単純に信頼性に欠けます。特に、データベースのボリュームが増え続けている現状を考えるとなおさらです。

エクイニクスでは、パブリックインターネットと比較したインターコネクションの性能上の利点についてもさまざまなことをお伝えしているため、その性能ギャップは実際にどの程度かと質問されるお客様も多くおられます。そのご質問に答えるため、当社はオラクルと共同でベンチマークを実施しました。Equinix Fabric経由のOracle Cloud Infrastructure(OCI)FastConnectの性能を、パブリックインターネットと比較して測定しました。厳密なテストの結果、さまざまなネットワークシナリオによるインターコネクションの性能について、その正確なメリットを示す詳細な測定結果が得られました。

ベンチマーク手法:さまざまなネットワーク条件を比較テスト

ベンチマークとするユースケースにおいて、エクイニクスとオラクルの共同チームが、Equinix IBX®コロケーション拠点でホストされたEquinix Metal® インスタンスからOracle Cloudリージョンに常駐するOCI Object Storageサービスにデータベースをバックアップするシミュレーションを行い、データベースのリカバリも実施しました。サンプルとして、サイズが1 TB程度のデータベースを使用しました。インターネット、ジャンボフレームのFastConnect(最大転送単位9000 MTU)、標準フレーム(1500 MTU)のFastConnectの3種類の接続方法を、それぞれ物理ポート速度の上限を10 Gbpsとして調べました。なお、留意点として、パブリックインターネットに対してジャンボフレームを設定することはできません。

また、3種類のパケット到達クラスのテストも実施しました。

  • 高 – パケット到達率99.9%(パケット損失0.1%)
  • 中 – パケット到達率99.5%(パケット損失0.5%)
  • 低 – パケット到達率99%(パケット損失1%)

さらに、送信元から送信先までの距離をシミュレートするのにさまざまな代表的レイテンシを用いました。これは、市内のデータ転送(レイテンシ2 ms以下)から最大で大陸間データ転送(レイテンシ100 ms)にまで及びます。

ベンチマーク結果:インターコネクションの性能メリットは条件によって異なります

ベンチマーク結果から、インターコネクションの性能は、パブリックインターネットの最大28倍に向上することが確認されました。また、レイテンシやパケット損失が増えると性能ギャップが大幅に拡大することも示されました。下の図は、こうした性能向上を、米国内におけるレイテンシに応じたパフォーマンスの差として示しています。

図から分かるように、北部バージニアとシリコンバレー間(レイテンシ約75 msで表される)で州をまたいだリカバリを実施する場合、パケット損失が0.1%でもインターコネクションによって最大15倍の性能向上を達成できます。実質的に、サンプルの1 TBデータベースのリカバリが平均約24分で完了したことになります。対して、同量のデータをパブリックインターネットで移行するには6時間以上もかかりました。

レイテンシ100 msでは、インターコネクションによる性能アップは、パケット損失1%でパブリックインターネットの最大79.2倍に達したことが確認されました。0.1%と0.5%のパケット損失では、それぞれ15.6倍、49倍もの性能向上でした。

どの組織も、ネットワーキングやパブリッククラウドの使用について独自の特性や要求事項を抱えています。それぞれのクラウド戦略の中核としてインターコネクションを評価する際は、エクイニクスやオラクル、その他取り引き先のパブリッククラウドプロバイダのテクニカルアドバイザに相談することをお勧めします。ベンチマーキングのより詳細なレビューを希望されるお客様向けに、IT分析・戦略を扱う調査会社Enterprise Strategy Group(ESG)が、分析手法のレビューと分析結果の検証を行ったホワイトペーパーを提供しています。さらに、テストプロセスに関する詳細文書、スクリプト、テスト結果も、当社のGitHubリポジトリから閲覧できます。

主な成果:インターコネクションは、近接性と最適化システムとの組み合わせで最も効果を発揮します

ベンチマーク結果から、企業が最高性能のネットワークインフラストラクチャを構築するのに役立つ3つのポイントが得られました。

ポイント1:クラウドへのインターコネクション(相互接続)は、クラウドデータをより迅速に移行します

1つ目のポイントは、ベンチマーク結果のなかで最も明確に表れたものです。Equinix Fabricのクラウドインターコネクションソリューションは、帯域幅を10 Gbpsに固定したとき、パブリックインターネットよりも性能上のメリットがあります。ベンチマークからは、クラウドへのインターコネクションのメリットが際立つものも含め、複数のシナリオも特定されました。

ポイント2:ネットワークの距離も問題です

ベンチマーク結果から、レイテンシとネットワーク性能との間には明確な関連性があることが分かりました。インターコネクションの性能メリットは、レイテンシが長いときに特に際立ちますが、だからと言って遠距離でもいいというわけではありません。実際、クラウドに近接して運用したほうが、性能が最大で3倍向上することがベンチマークによって確認されています。

この点でもお役に立てるのがエクイニクスです。世界に240か所以上のエクイニクスIBXコロケーションデータセンターを展開しているため、お客様はご自身が選択されたクラウドリージョンに近接して運用することができます。これは、エクイニクスの拠点が一般に、トッププロバイダのクラウドオンランプへのホーム(入口)になっているからです。これにより、お客様は必要なときにいつでも遅延の少ないクラウド接続を確保しやすくなります。

ポイント3:システムのセットアップによって、さらに性能を向上させることが可能です

システムのセットアップには、インターコネクションの性能に影響しそうな複雑な内容がいくらでもあります。その一例が、ペイロードの大きなジャンボフレームの使用です。標準フレームではわずか1500 MTUであるのに対し、ジャンボフレームでは9000 MTUになります。ベンチマークにより、パケット当たり6倍以上のデータを移行すると性能が約2倍向上することが確認されています。ただし、ジャンボフレームは、クラウドとの接続点だけでなく、社内ネットワーク全体で有効にする必要があります。

また、このベンチマークの範囲に含まれていないネットワーク要因が多数あります。パフォーマンスの最適化を計画する際には、それらを検討することが重要です。ベンチマークでは、パラレルRMANチャネル数の値を35に調整しました。また、OracleデータベースをホストしたサーバにはRAID 0構成のNVMeストレージディスクを使用し、ストレージシステムが10 Gbpsスループットテストに対応できるようにしました。上記を含む要因がご使用の環境に対して最適化されなければ、性能に悪影響を及ぼすボトルネックとなる可能性もあります。

全体として、ユーザーがエクイニクスのクラウド隣接コロケーションとEquinix Fabricのクラウドへのインターコネクション機能を組み合わせてパケット到達率を高め、ジャンボフレームを有効にすれば、合わせて最大28倍の性能アップを達成できます。

Equinix Fabricの導入はクラウド性能を高めるための素晴らしい第一歩ですが、さらに低レイテンシおよび最適化システムと組み合わせることでメリットが膨らみます。ベンチマークやネットワーク性能のポイントについては、今すぐESGホワイトペーパーをご覧ください。

 

Equinix Fabric®およびデジタルインフラストラクチャサービス紹介セミナー

Equinix Fabricとデジタルインフラストラクチャサービス紹介セミナー
ハイブリッドクラウドやマルチクラウドでの主要なクラウド接続を担っているEquinix Fabricは、柔軟性に優れたオンデマンドのグローバルなインターコネクション(相互接続)です。東京や大阪を含めた海外50+拠点でクラウドへの接続を提供しています。

当セミナーでは、ハイブリッドクラウドやマルチクラウド構築のトレンドと、Equinix Fabricやデジタルインフラストラクチャサービス概要、ポータル利用方法、Equinix FabricとNetwork Edgeを活用したマルチクラウド接続デモ、マネージドテクノロジーサービスをご紹介いたします。

詳細はこちら
fabric
アバター画像
Pragnesh Panchal Senior Principal Solutions Architect
Subscribe to the Equinix Blog