ワークロードを配置する際の優先事項の変化には、ハイブリッドITで対処することが必要

ワークロードに適したインフラストラクチャと場所を選択することで、可用性とパフォーマンスが向上し、セキュリティが強化されます

Ian Botbyl
ワークロードを配置する際の優先事項の変化には、ハイブリッドITで対処することが必要

デジタル経済において、急速に変化する優先事項に対処し、ワークロードとデータをユーザーとアプリケーションの近くに配置することは、世界中のITリーダーにとって最大の関心事となっています。多様なワークロードの配置を管理するには、ITインフラストラクチャへのハイブリッドアプローチが必要です。エクイニクスが実施した2022 Global Tech Trends Surveyによると、世界中のIT関連意思決定者の38%がクラウドサービスの導入にハイブリッドクラウドモデルを採用しており、ハイブリッドクラウドは最も一般的な導入アプローチとなっています。

ハイブリッドITは、オンプレミスのデータセンターやコロケーション施設、クラウドやデジタルエッジにさまざまなワークロードを配置する場合に必要となる柔軟性を企業に提供します。ワークロードの例としては、分散データストア、コンテナ化されたマイクロサービス、ディープラーニングアプリケーション、ビッグデータの分析、3Dモデリング、リアルタイムストリーミングデータ、キャッシュ、分散データベース、インメモリデータベース、高度に拡張可能なNoSQLデータベース、データウェアハウスなどがあります。この記事では、これらのワークロードの配置を最適化する戦略に影響するさまざまな要因と基準について説明します。

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何を優先すべきかに基づいてワークロード配置戦略を策定

ワークロードの配置を困難にする要因の一つに、市場の変化に対応するために求められるスピードがあります。変化のペースが速いと、計画段階でIT部門から十分な情報を得ることなく、ワークロードの展開に関するその場しのぎの決定が下される可能性があり、何に基づいてその決定に至ったか、またIT部門がビジネス部門の期待をどのように満たすことができるかが十分に可視化されません。

主要なワークロード属性を特定し、ビジネスニーズと問題点を把握するための時間を取ることで、IT部門は最適な計画に必要な情報を得ることができます。ワークロードを従来の場所に展開するのではなく、スピード、柔軟性、拡張性、俊敏性、セキュリティ、コンプライアンス、カスタマーエクスペリエンス、コスト削減、データ保護、災害復旧のうち、何を優先すべきかに基づいて決定を下せるようになります。

たとえば、スピードと柔軟性を必要とするワークロードは、パブリッククラウドに配置することでメリットを得られます。一方、データ保護と災害復旧に依存するワークロードには、ハイブリッドクラウドの方が適している可能性があります。SaaS企業とクラウドネイティブ企業は、処理コストとレイテンシを削減する手段として、成熟度の高いワークロードをクラウド隣接市場に分散させたり、エッジの近くに機能を移動したりし始めています。

ワークロードの配置場所の選択に影響するもう一つの要因は、データ管理です。厳格なデータ規制により、企業はデータをオンプレミスに保存するか、クラウドで実行されているアプリケーションへのオンランプを備えたコロケーション施設に保存することを義務付けられる場合があります。そうすることで、クラウドの隠れたコストの一つであるデータイグレス(送信)料金を支払う必要もなくなります。

大量のトランザクション処理がエッジで行われる場合は、レイテンシを低く抑えるために、エッジのコロケーション施設またはクラウドにデータを保存する必要があります。複数のワークロードが同じデータソースを共有している場合は、コンプライアンス、パフォーマンス、可視性に関する個々の要件を考慮することが重要となるため、ワークロードを個別に配置して、データとエンドユーザー間の接続を設定するのが賢明です。

インターコネクション(相互接続)された動的なエコシステムにおいてパートナーやお客様、サービスプロバイダへのアクセスを確保することも、ワークロード配置の決定要因となる場合があります。ソフトウェア定義の相互接続や仮想ネットワーク機能デバイスなどのデジタルインフラストラクチャソリューションやデジタルサービスを提供するエコシステムパートナーが普及していることを背景に、企業にとってエコシステムはインフラストラクチャそのものであると言われています。

柔軟なワークロード配置にはハイブリッドアプローチが必要

展開オプションを選択する際の指針となる戦略を策定すると、ワークロードの最適な配置に見られるハイブリッドな側面を反映させることができます。ワークロードを配置する際にさまざまな優先事項に応じて最適な展開オプションを設計できるよう、柔軟性を組み込むことが重要です。

たとえば、クラウド内のデータにアクセスすることを計画している企業は、Bare Metal-as-a-Serviceをクラウド隣接バックアップソリューションとして利用するか、コロケーション施設にあるインフラストラクチャの災害復旧ソリューションとして利用できます。もう一つの展開オプションは、ワークロードをクラウドから専用インフラストラクチャに回帰させることでコストを抑制し、パフォーマンスを向上させることです。ネットワークを最初にセットアップしておくと、オンプレミス回帰が簡略化され、スケールアップが必要になった場合の選択肢が増えます。

ワークロード配置の決定内容とビジネス上の成果を継続的に評価することは、意思決定の継続的な改善につながるだけでなく、以前の決定の根拠が時間の経過とともに変化した場合に方向転換を図る機会にもなります。ITリーダーは、クラウドサービスとそれにアクセスする必要があるエンドユーザーおよびアプリケーションの間でデータとワークロードを移動する際に、セキュリティとパフォーマンスの両方を考慮する必要があります。

戦略的なワークロード配置がもたらすメリット

リーダー向けデジタルインフラストラクチャガイドによると、ワークロードを適切な場所に展開しているお客様は次のように報告しています。

  • クラウド接続のオーバーヘッドを排除し、固定CAPEXを柔軟なOPEXモデルに移行することで、運用コストを30~40%削減
  • ワークロードに最適化された専用のHCI(汎用の仮想化インフラストラクチャよりもパフォーマンスの大幅な向上とコストの削減を同時に実現)によってパフォーマンスを80%向上
  • 自動化されたデジタルインフラストラクチャプロビジョニングにより、展開に要する時間を5~10分の1に短縮
  • データイグレス(送信)コストを3~4分の1に削減し、データ処理を20倍、バックアップとデータ転送を10倍高速化

ワークロード配置戦略を定義し、分散型デジタルインフラストラクチャとデジタルサービスを導入することで、これと同様の成果を達成し始めることができます。

ワークロード配置戦略を実行に移す

Platform Equinix®で利用可能なオンデマンドのデジタルインフラストラクチャとデジタルサービスにより、ハイブリッドアプローチを使用して、ネットワーキング、コンピューティング、ストレージをカバーする物理および仮想展開環境にワークロードを配置することが可能です。お客様は、VMwareやNutanixなどのハイブリッドマルチクラウドプラットフォーム、Pure StorageやDell Technologiesなどのストレージパートナー、主要ブランドが提供している仮想ネットワーク機能デバイス(ロードバランサー、ファイアウォール、ルータ、SD-WANデバイスなど)、コンテナ化されたアプリケーションを管理するKubernetesツールから適切なものを選択できます。これらのサービスの提供は物理的にではなく仮想的に行われるため、インフラストラクチャのセットアップが数か月ではなく数分で完了します。

グローバルなデジタルインフラストラクチャ企業(the world’s digital infrastructure company™)であるエクイニクスは、3,000社を超えるクラウドおよびITサービスプロバイダに加え、2,000社を超えるネットワークサービスプロバイダと提携しています。そのため、お客様がワークロードの配置に利用することを計画しているプロバイダがエクイニクスのエコシステムにすでに参加している可能性が大いにあります。また、Equinix Fabric®のソフトウェア定義相互接続機能により、クラウドプロバイダをはじめとしたテクノロジーパートナーとオンデマンドで仮想接続できるため、エンタープライズ向けハイブリッドマルチクラウドネットワーキングが簡略化されます。さらに、Equinix Metal®の専用Bare Metal-as-a-Service機能により、企業はシングルテナントのコンピューティングおよびストレージ機能をエンドユーザーやエッジのデータソースに近接させて展開できます。

オンデマンドのデジタルサービスとインフラストラクチャがデジタルの成長をどのように後押しするかについては、リーダー向けデジタルインフラストラクチャガイドをご覧ください。

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GARTNER® – Workload placement in hybrid IT — Making great decisions about what, where, when and why (equinix.com) [1]

 

[1] Henrique Cecci/David Cappuccio著、「“Workload Placement in Hybrid IT — Making Great Decisions About What, Where, When and Why」、Gartner、2022年5月22日。

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