急速に進化するテクノロジーの潮流は、今後も勢いを増し、これは2025年も例外ではありません。各業界のビジネスリーダーやデジタルリーダーにとって、新たに登場する技術の可能性を最大限に活用し、直面する課題を克服することは、事業の成長を促進するために不可欠です。
エクイニクスは、強靭なデジタルインフラストラクチャと重要なサービスを提供することで、この進化を支えることに引き続き尽力しています。2025年以降、アジア太平洋地域のビジネスとテクノロジーの風景を形成すると予想される4つの主要なトレンドについて考察します。
トレンド1: プライベートAIインフラストラクチャを取り入れたハイブリッドAI導入の推進
AIサービス導入の初期ブームは、パブリッククラウドで利用可能な大規模言語モデル(LLMs)の普及によって支えられてきました。しかし、デジタル企業の間では、特にプライベートデータを扱うAIワークロードに対しては、他のアプローチがより適している場合があると認識され始めています。
ユーザーのクエリや関連データをパブリッククラウド上のモデルで処理する従来の「Data To The Model(データをモデルへ)」アプローチに代わり、多くの組織が「Model To The Data(モデルをデータへ)」アプローチを採用しています。これは、AIモデルを組織のプライベートデータストレージに隣接するプライベートコンピューティングインフラストラクチャに展開するもので、多くの場合、モデルのエンドユーザーに近い物理的な場所に配置されます。このアプローチは、プライバシー、速度、コストの観点からメリットをもたらす可能性があります。
プライバシー
- 最も有望なAIユースケースの多くは、機密性が高く、プライベートまたは規制されたデータセットに技術を適用することを伴います。例えば、金融記録を活用する銀行の不正防止システムや、医療画像に基づく予防医療サービスが挙げられます。このような機密データを完全に管理するため、または国のデータ主権要件に準拠するため、一部の企業はAIインフラストラクチャをプライベートに展開することを選択しています。また、自社独自のデータでカスタマイズされたモデルをトレーニングしたい企業にとって、この動機は
速度
- AIサービスのシームレスな使用は、サービスが配置されているコンピューティングインフラストラクチャとユーザー間の接続の遅延およびエコシステム間の相互接続性に依存します。特に、AIサービスが短いテキストベースのクエリから音声、画像、動画ベースのサービスに進化するにつれて、この要件はますます重要になります。低遅延を実現するために、組織はエンドユーザーの拠点に近い分散型のコロケーションデータセンターをAIインフラストラクチャ展開のオプションとして活用することが可能です。
コスト
- 開発初期段階のサービスや、データ転送量が限られているサービスの場合、オンデマンドで利用可能なパブリッククラウドにモデルを配置する方がが適している場合があります。一方で、ユーザーとモデル間で大量のデータ転送を伴う成熟したサービスの場合、プライベートインフラストラクチャの運用コストが低くなる可能性があります。
2025年には、ハイブリッドAIインフラストラクチャを導入する企業が増加すると予測されます。これにより、特定のAIサービスに対するこれらの考慮事項に応じて、プライベートおよびパブリックAIの両方を柔軟に活用できるようになると予想されます。
トレンド2: AIと量子技術の進化に伴うサイバーセキュリティの強化
アジア太平洋地域ではサイバー脅威が増加しており、2024年にはサイバーセキュリティ支出が360億ドルに達すると予測されています。この急増は、AIやIoT技術を活用したサイバー攻撃の高度化など、さまざまな要因によって引き起こされています。Gartnerによると、生成AI、従業員の不正行動、サードパーティリスク、継続的な脅威エクスポージャー、アイデンティティファーストのアプローチなどのトレンドが、新たなサイバーセキュリティ上の脅威をもたらしています。同様に、IoTデバイスの普及は攻撃面を拡大し、堅牢なセキュリティ対策がこれまで以上に重要になっています。
量子コンピューティングは、サイバーセキュリティに対するもう一つの主要な脅威となります。これは、現在の公開鍵基盤の重要な部分に深刻なリスクをもたらし、現在の暗号を数分で破ることができると予測されています。実際、国家レベルの攻撃者は、暗号化された機密データを現在は解読せずに収集し、技術が利用可能になった時に解読しようとしています。これは「harvest now, decrypt later(今収集して後で解読)」攻撃と呼ばれています。
これらの脅威に対抗するため、量子暗号技術と生成AIツールは、組織のサイバーセキュリティ戦略において不可欠な要素となりつつあります。例えば、量子鍵配送サービス(QaaS)は、インターネットを通じて量子鍵配送技術部にアクセスできるクラウドサービスで、エンタープライズネットワークに対して強力な保護を提供し、安全な通信とデータ完全性を確保します。量子技術のサイバーセキュリティフレームワークへの段階的な統合は、ますます高度化する暗号攻撃からデータを保護するために極めて重要です。量子鍵配送は、これらの高度なサイバー脅威から機密データを守るため、前例のないレベルのセキュリティを提供します。
エクイニクスは、Quinessence Lab、SK Telecom、東芝、BTなどの企業とのパートナーシップを通じて、量子強化されたサイバーセキュリティソリューションへのアクセスを提供しています。これらのパートナーシップにより、「harvest now, decrypt later」攻撃に対してデータを安全に保護することができ、企業は進化するサーバー脅威に備えることができます。企業は、大規模な初期投資なしで、重要なデータ資産を保護する量子強化サイバーセキュリティソリューションにアクセスすることで、未来の脅威に対しても備えることができます。
トレンド3: エッジコンピューティングを活用したデータ主権の強化
政府のデータ主権への関心の高まる中、IoT、生成AI、リアルタイムアプリケーションの普及が進み、端末(エッジ)での強固なITインフラの必要性が増しています。エッジコンピューティングは、データのローカル処理を可能にすることで、転送リスクを軽減し、国ごとに大きく異なるアジア太平洋地域のデータ主権法への準拠を支援します。企業のITリーダーは、エッジコンピューティング戦略の必要性をますます認識しています。Gartner®のレポート「Building an Edge Computing Strategy」によれば、2026年末までに大企業の70%がエッジコンピューティングの文書化された戦略を持つと予測されています(2023年時点では10%未満)。
アジア太平洋地域では、国民のデータを保護するために、いくるかの国が厳格なデータ主権政策を実施し始めています。例えば、中国のサイバーセキュリティ法は、国内で収集されたデータを国内に保存することを義務付けています。同様に、インドネシアの政令第71号では、電子システム運営者にデータの国内を求めています。これらの規制は、コンプライアンスを促進し、安全なデータ管理を可能にするエッジコンピューティングのようなローカライズされたデータ処理ソリューションの必要性を強調しています。
エッジコンピューティングサービスは、企業や政府がデータを発生源の近くでい処理することを可能にし、応答時間を短縮やデータセキュリティの向上を実現します。このローカライズされたアプローチは、特に厳格なデータ保護法が施行されている地域で、データ主権規制を遵守するために不可欠なものとなります。
トレンド4: ハイブリッドマルチクラウドでビジネスアプリケーションを進化
アジア太平洋地域は、世界のクラウドデータセンターの37%を占めており、アジア太平洋のパブリッククラウド市場は2026年までに年平均成長率(CAGR)26%で成長すると予測されています。マレーシア、タイ、ベトナムなどの市場で拡大が計画されています。
一方で、多くの企業が複数のパブリッククラウドサービスのアジリティ(敏しょう性)とプライベートクラウドインフラストラクチャの利点を組み合わせたハイブリッドマルチクラウドアプローチを採用しています。企業がハイブリッドマルチクラウドソリューションを採用する理由には、GPUの不足、予測不可能なクラウドコスト、予測可能なワークロードに対するコストパフォーマンス、顧客の完全な管理下に置かれたデータが必要な特定のユースケースなどが含まれます。
ハイブリッドマルチクラウドは、ITインフラストラクチャを最適化しようとする企業にとって引き続き標準となり、パブリッククラウドとプライベートクラウドの利点をバランスよく活用します。エクイニクスのグローバルデジタルインフラストラクチャプラットフォームは、広範なクラウドおよびネットワークプロバイダーのエコシステムへの高速接続を提供し、シームレスな統合と効率的なデータ移動を可能にします。このアプローチにより、企業はビジネス環境の変化に柔軟に対応しながら、重要なワークロードを制御し続けることができます。
デジタル相互接続サービスを活用してアジリティを維持
2025年に向けて、アジア太平洋地域は大きな技術革新が進展すると予測されています。プライベートAI環境や量子強化サイバーセキュリティの開発、エッジコンピューティングやハイブリッドマルチクラウドソリューションの加速的な導入など、これらのトレンドはデジタルの未来を形作るでしょう。
さらに、持続可能性への関心が高まる中、企業が環境への影響を最小限に抑えながらこれらの先進技術を導入することがますます重要になっています。エクイニクスは、持続可能なエネルギーで運営されるデータセンターを通じて、企業がカーボンフットプリントを削減しながら、技術革新の最前線に立つことを支援しています。最先端技術と持続可能性の両方に焦点を当てることで、企業は急速に進化するデジタルの世界で繁栄しながら、地球環境の保護にも貢献することができます。