急速に変化するデジタル社会において、企業が競争力を維持するには、最新技術の導入が不可欠です。しかし、その技術を最大限に活用するためには、デジタルインフラストラクチャの容量を迅速に拡張し、安定した電力供給を確保する必要があります。
同時に、エネルギー消費の増加がサステナビリティの目標を損なうことのないよう、具体的な対策を講じることも求められます。これらの課題に対応するのは容易ではありませんが、オンプレミスのレガシーデータセンターでは、もはや実現不可能と言っても過言ではありません。
適切なデジタルインフラストラクチャを整備することで、これらの課題は新たな成長の機会へと変貌します。
コロケーションを有効活用することで、非効率で柔軟性に欠ける自社データセンターから脱却し、イノベーションに集中できる環境を構築できるのです。
高性能なコロケーションデータセンターの特徴とは?
すべてのデータセンターがコロケーションのメリットを最大限に提供できるわけではありません。多くのデータセンターは、現在のデジタルビジネス環境を想定して設計されておらず、単に安価な土地やオフィスの近くでエネルギーコストを活用するために建設されたものも少なくありません。かつてはこうしたアプローチが最優先されていましたが、今やビジネスのあり方は大きく変わっています。
本当に高性能なコロケーションデータセンターは、以下の3つの要素を満たしており、ライフサイクルのあらゆる段階で価値を提供しています。
- 革新的なデータセンターデザイン
- デジタル機能やサービスへの継続的な投資
これにより、企業は現在のデジタル課題に対応しながら、将来のビジネス環境にも柔軟に適応できるようになります。
AI対応インフラストラクチャ
AIの台頭により、オンプレミスデータセンターの限界が浮き彫りになっています。
多くの企業は、AIが求める高性能コンピューティング環境を自社データセンター内に導入することの難しさを痛感しています。加えて、そのハードウェアを支える高度な冷却システムを構築することも、大きな課題となっています。
一方、先進的なコロケーションプロバイダは、AIに最適なインフラストラクチャやサービスをサポートできるよう、大規模な投資を行っています。
低遅延な相互接続
複数のクラウドを活用するのが、今や企業の標準となっています。一部の企業では、オンプレミス環境とクラウドサービスを組み合わせたハイブリッド、マルチクラウドアーキテクチャを選択するケースもあります。しかし、オンプレミスのデータセンターがボトルネックとなり、ネットワークのパフォーマンスが低下してしまっては意味がありません。
特に、クラウドアプリケーションが大量のデータを生成する時代において、データをオンプレミスのデータセンター経由でバックホールする旧来のアーキテクチャは非現実的です。
適切なデータセンターを活用することで、グローバル規模での展開とエコシステムの密度を確保し、必要な場所で複数のクラウドプロバイダへ低遅延で接続することが可能になります。
持続可能なインフラストラクチャ
企業や組織はサステナビリティ目標の達成を重要視しているものの、それを単独で実現するのは容易ではありません。
特に、高負荷ワークロードの増加に対応する中で、エネルギー消費を最適化し、再生可能エネルギーを活用するためには、サステナビリティに投資しているコロケーションプロバイダとの連携が不可欠です。
つまり、データセンターのエネルギー効率を高めるだけでなく、使用する電力が再生可能エネルギーで賄われているかどうかを考慮する必要があります。
Stadler社がエクイニクスとともに構築した、将来に対応するデジタルインフラストラクチャストラクチャ
エクイニクスは、高性能なデジタルインフラストラクチャを通じて企業の成長を支援します。その一例として、オーダーメイド鉄道車両のグローバルメーカーであるStadler社の取り組みを見てみましょう。
Stadler社は、ヨーロッパ各地に分散していたオンプレミスデータセンターを統合するため、スイスの本社近郊にあるチューリッヒのIBX®コロケーションデータセンター2拠点へ移行しました。
エクイニクスと連携した目的は、デジタルトランスフォーメーションを推進し、将来に対応できるデジタルインフラストラクチャを確立することでした。
エクイニクスが提供する拡張性の高い電力供給とスペースにより、Stadler社はハードウェアインフラストラクチャの容量を2倍に拡大することができました。また、エクイニクスのデータセンターでは、Stadler社の自社アプリに加えて、MicrosoftやSAPといったパートナーのミッションクリティカルなコラボレーション、管理、計画ツールをホストしています。
さらに、エクイニクスのデータセンターの高密度なネットワーク接続により、Stadler社は世界中のユーザーとの安定した接続を確保しつつ、約14,500人の従業員がこれらのアプリケーションへオンデマンドでアクセスできる環境を実現しました。
「当社ではデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。この新しい環境の目的は、バリューチェーン全体の効率を向上させることです。 エクイニクスとのパートナーシップにより、イノベーションと成長を加速できる、将来に対応したデジタルインフラストラクチャを手に入れて、革新と拡張が可能となりました。」- Michael Hutab, Chief Information Officer, Stadler
グローバルな接続性の実現
Stadler社は、各製造拠点間で大量のエンジニアリングデータを高速かつスケーラブルにやり取りできるネットワーク環境を必要としていました。これにより、すべてのエンジニアが必要なデータに、必要なタイミングで、必要な場所からアクセスできることが不可欠でした。
さらに、顧客との接続性も重要な要素でした。顧客は、製造プロセスの透明性向上をますます求めるようになっています。そのため、Stadler社は、あらゆる時点で各プロジェクトの進捗状況を正確に顧客へ提供できる体制を整える必要がありました。これを実現するには、世界中に分散する顧客と製造拠点をシームレスに結ぶ、信頼性の高いネットワーク接続が欠かせません。
加えて、Stadler社は約2,000社のサプライチェーンパートナーと連携し、多くの部品を適切なタイミングで適切な場所へ届けるための調整を行う必要があります。そのため、サプライチェーン全体にわたる安定した高性能なネットワーク接続も求めていました。
エクイニクスのパートナーエコシステムの密度の高さは、Stadler社がこれらすべてのステークホルダーと確実に接続する上で、重要な役割を果たしています。
また、Stadler社はネットワークサービスプロバイダーを自由に選択できる環境を活用し、ネットワーク帯域を従来の10倍となる10Gbpsへとスケールアップすることができました。
将来への備え
Stadler社は、自社のインフラ要件の進化に対応できる強固な基盤を整えていると確信しています。
また、AI、IoT、デジタルツインや拡張現実(AR)といったクラウドベースの製造技術の導入を検討する中で、エクイニクスの低遅延クラウドオンランプ(各CSPがエクイニクスに作成したクラウドPoP)への接続を活用し、これらのクラウドアプリケーションが求めるデータのスムーズな接続を確保しています。
さらに、Stadler社は明確なサステナビリティ目標を掲げており、エクイニクスはその実現を支援できるパートナーです。同社は、温室効果ガス排出量の20%削減を目指すとともに、サプライチェーン全体でScope 3排出量の管理を強化しています。Stadler社は、エクイニクスを環境負荷の大きいワークロードを支えながら、持続可能な目標達成を支援するパートナーと位置づけています。
エクイニクスは、2030年までにグローバルで100%再生可能エネルギーの利用を達成することを目標に掲げ、大規模な投資を行っています。2023年には、235以上のデータセンターで100%再生可能エネルギーが供給され、Stadler社のような企業がデータセンターのエネルギー消費において市場ベースの排出ゼロを実現できる環境を提供しました。
また、エネルギー効率向上にも積極的に取り組んでおり、2023年の年間平均PUE(電力使用効率)は1.42となり、2019年の1.54から約22%の効率改善を達成しました。この期間中にデータセンターの規模が大幅に拡大したにもかかわらず、効率性の向上を実現しています。
Stadler社の成功事例について詳しく知りたい方は、導入事例(英語)をご覧ください。