AIで効率的かつ持続可能なエンタープライズ変革を支援

環境への配慮を念頭に設計されたデータセンター内でNVIDIAアクセラレーテッド コンピューティングを効率的に実行できるようサポート

Tiffany Osias
Andria Zou
AIで効率的かつ持続可能なエンタープライズ変革を支援

現代の企業や組織にとって、AIの導入は画期的な変革のきっかけになります。たとえば、ある大手製薬会社では、AIを活用して医薬品の開発を加速し、安全で効果的な薬をより迅速に患者へ届けることを目指しています。しかし、AIの持つ革新的な力を追求する上で、すべての企業が考慮すべき課題の一つが、サステナビリティへの影響です。AIのワークロードは大量の演算処理を必要とするため、企業は必要な計算能力をどのように効率的に調達するか、戦略的に考える必要があります。 

AIの導入とサステナビリティ目標の達成は、時として相反することがあります。多くの企業が、自社のレガシーなデータセンターでは最新のAIワークロードをサポートできないことに気づいています。そこには高性能なAIハードウェアが不足しているだけでなく、最新の効率化技術や再生可能エネルギーの利用も十分ではありません。 

エクイニクスのような大手コロケーションプロバイダーが運営するハイパフォーマンスデータセンターを活用することで、企業や組織はこれらの課題を解決できます。エクイニクスのデータセンターに展開することで、省エネ運用を目指すパートナーやサービスプロバイダと簡単につながることができます。前述の製薬企業もエクイニクスを利用し、以下のようなメリットを享受しています。 

NVIDIAのアクセラレーテッドコンピューティングが、持続可能なコンピューティングを実現 

AIやその他の先進的技術が演算能力への需要を高めている一方で、従来のCPUではその性能が追いつかなくなっています。幸いにも、CPUだけが選択肢ではありません。 

CPUが逐次処理を行うのに対し、GPUは並列処理を行うため、膨大なAIデータセットをより迅速かつ効率的に処理できます。そのため、GPUは単位エネルギーあたりの仕事量という観点でCPUよりもはるかに省エネルギーです。 

GPUは一定の期間で見るとCPUよりも多くのエネルギーを消費する場合がありますが、エネルギー効率を評価する際は「消費するエネルギー単位あたりの仕事量」で考えることが重要です。同じ作業をCPUで処理すると非常に長い時間がかかり、その分より多くのエネルギーを消費してしまうからです。 

GPUは同じ仕事をするのにCPUよりはるかに少ないエネルギー諸費で済む(出典:NVIDIA) 

また、GPUのエネルギー効率は世代を重ねるごとに大きく向上しています。実際、NVIDIAのGPUは10年前と比べて10万倍もエネルギー効率が高くなっています。もし自動車の燃費がこれと同じ割合で改善していたとすると、ガソリン1ガロン(約3.8リットル)で約200年も走られる計算になります。

現在、NVIDIAのGPUがLLMトークンを処理するのに必要なエネルギー量は、10年前と比較して10万分の1にまで削減されている(出典:NVIDIA)

さらにGPUは定期的にソフトウェアのアップデートが行われるため、次世代GPUの登場を待つことなく効率の改善を実感できます。今日購入した最新のGPUであっても、ソフトウェアアップデートが行われるたびに、時間の経過とともに効率性がさらに向上します。

AIワークロードの効率化を高め、生成AIのより持続可能な運用を実現するには、高密度化が求められます。NVIDIAはデータの移動によるエネルギーロスの最小化、帯域幅の最大化を目的にオールツーオール通信ボトルネックの排除、NVIDIA NVLinkネットワークドメインを緊密に連携するワークロードの最適化を実施することで、ラック当たりのGPU密度を2倍に高めるなど、エネルギー消費を最小限に抑える革新的な取り組みを進めています。またラック内では、GPU間通信に銅線を使用してエネルギーロスを低減し、信頼性を高めています。今後のAIインフラストラクチャには、り、1兆パラメータ効率的に展開できるようにするため、高密度電力供給や高度な液体冷却、AIに最適化されたラック設計などの需要なブレークスルーが不可欠となります。

AIワークロードを効率的に運用するには、NVIDIAのアクセラレーテッド コンピューティングによるGPU活用が最適な第一歩です。しかし、GPUを設置する環境も非常に重要です。適切なデータセンターに設置することで、GPUを最大限に活用し、効率的な運用が可能になります。エクイニクスとNVIDIAの協業は、AIの展開とサステナビリティ戦略を同時に実現できる環境をお客様に提供します。

AIへの持続可能な取り組みは、データセンターの効率化から始まる

データセンター業界では、電力使用効率(PUE)という指標でエネルギー効率を測定しています。PUEとは、データセンター全体で消費される総電力量と、計算機器を動かすために使われる電力量の比率を示すもものです。PUEを改善するには、データセンター運営者は冷却などの間接的な作業に使用されるエネルギーを削減する必要があり、PUEは1に近いほど効率性が高くなります。

エクイニクスは、世界全体のデータセンターで年間平均PUE 1.30以下を目指して取り組んでいます。2023年時点でのグローバルな年間平均PUEは1.42でした。これは、データセンターのポートフォリオが大幅に拡大したにもかかかわらず、2019年比で22%の効率改善を達成しました。また2023年だけで効率改善に7,750万ドルの投資を実施して、さらなる効率改善に向けて邁進しています。

2022年には、業界に先駆けて運用温度範囲をASHRAE A1 Allowable(A1A)基準に合わせて拡大することを決定しました。これは、エンタープライズ機器が最大27°C(80°F)の高温環境でも安全に動作することを保証する基準です。当社施設の運用温度を業界平均の22°C(72°F)からこの基準に近づけることで、冷却に使うエネルギーを削減し、AIワークロードをより効率的に運用できるようになります。また蒸発冷却を導入した施設では、水の消費量も削減できます。

さらにエクイニクスは、AIハードウェアが必要とする高度な冷却技術も展開しています。世界100カ所以上のエクイニクスのIBX®データセンターで液体冷却を導入しています。

液体冷却には、2つの利点があります。

  • 空冷よりも電力密度を高めることができるため、GPUなどの次世代ハードウェアをサポートできる
  • また、データセンター全体の冷却に費やす電力量を削減できるため、効率性の向上につながる

効率的であるだけでなく、持続可能であること

エクイニクスはお客様が効率性とサステナビリティの両立を実現できるよう支援しています。私たちは効率的なエネルギー利用だけでなく、利用するエネルギーをクリーンで再生可能な資源にすることを目指しています。

そのために、エクイニクスは電力購入契約(PPA)を中心に、再生可能エネルギーの利用拡大を進めています。PPAを通じて風力や太陽光発電などの再エネプロジェクトを支援し、地域の送電網に新たな再生可能エネルギー容量を供給しています。 

こうした取り組みにより、エクイニクスは世界全体で再生可能エネルギーの使用比率96%を達成し、235以上の施設で100%の再生可能エネルギー利用を実現しています。これらの施設を利用するお客様のエネルギー利用に伴う市場ベースの排出量はゼロになります。 

グローバル規模でサステナビリティを実現

AIインフラストラクチャを設置する場所を検討する際は、サステナビリティや効率性が重要なポイントになります。しかし、考えるべき要素はそれだけではありません。例えば、高密度なAIインフラストラクチャを冷却コスト削減のためだけに寒冷地域に集中させることは現実的ではありません。AIには、特に推論のワークロードにおいて低遅延でのデータ接続が求められるため、AIインフラストラクチャはデータソースの近くに展開する必要があります。 

グローバルに展開するデータセンタープラットフォームを活用すれば、遅延とサステナビリティのバランスをとることが可能になります。例えば、エクイニクスは、大規模なAI学習向けのハイパースケール施設と、遅延に敏感な小規模なAIワークロード向けの従来型コロケーション施設の両方を世界70以上の戦略的市場で提供しています。そのため、お客様は必要な場所に分散型のAIインフラストラクチャを展開しながら、エクイニクスが行うサステナビリティや効率化への投資効果を最大限に享受できます。 

私たちのお客様の多くは、AI戦略にサステナビリティの要素を簡単に取り入れるための「イージーボタン」を求めていることが分かっています。ターンキー型のAI基盤である「Equinix Private AI with NVIDIA DGX」は、まさにそれを実現するものです。このソリューションを導入することで、エクイニクスとNVIDIAが効率性やサステナビリティ実現のために投じてきたノウハウやリソースの恩恵をすぐに享受できます。お客様はAIインフラストラクチャの管理をエクイニクスに任せることで、AIイノベーションそのものに集中できるようになります。 

さらに、AIへのプライベートなアプローチにより、お客様は自社のAIデータセットを安全かつ確実に管理や保護できるようになります。これは特に医療や金融、法律などの規制が厳しい業界において有効です。詳しくは、エクイニクスとNVIDIAがどのように画期的な成果をお客様にもたらしているのかをまとめたeBook「プライベートAIで新たな可能性を切り拓く(英語)」をご覧ください(日本語の参考訳はこちらご連絡いただければ、提供可能です)。

さらに詳しく知りたい方は、NVIDIA GTC 2025のセッション「AIで企業を持続可能かつ大規模に変革する」をご覧ください。 

NVIDIA GTC 2025でのその他エクイニクスのセッションは以下の通りです。 

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Tiffany Osias Managing Director, xScale
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Andria Zou Guest Author: Senior Director, Global AI Data Center Strategies, NVIDIA
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