猫のミーム動画を支えるデジタル接続基盤とは

あなたが毎日オンラインで楽しむ猫動画の背後には目に見えない巨大なデジタルインフラストクチャとエコシステムが存在

Ed Baichtal
猫のミーム動画を支えるデジタル接続基盤とは

オンライン世界では猫動画が圧倒的な人気を誇っています——これは冗談ではありません。ガラケーやソーシャルメディアが登場した初期から、猫の写真や動画は爆発的に普及してきました。猫コンテンツは単なる娯楽にとどまらず、実際、研究によると私たちの健康にも良い影響を与え、人々の活力やポジティブな感情を高め、ネガティブな感情を減少させる効果があることがわかっています。[1]  

現在、猫関連のコンテンツがインターネット全体のトラフィックでどれほどの割合を占めるか明確なデータはありませんが、その量が膨大であることは容易に想像できます。YouTubeには毎日数万本の猫動画がアップロードされ、ソーシャルネットワーク上には数十億本もの猫動画が存在しています。猫動画は他の多くのカテゴリーを凌駕するほどの人気で、ナラパフグランピーキャットといったインターネット上の有名猫はそれぞれ数百万のフォロワーを持っています。インターネット登場以前に、私たちは猫がこれほどまで人気だったことに気づいていたでしょうか。 

多くの人が毎日のようにオンライン動画を視聴しますが、そのコンテンツを支えるインフラストクチャの存在を意識する人はほとんどいません。一本の猫動画が作られ、視聴されるまでには、物理的なハードウェア、ソフトウェア、多くのテクノロジープロバイダが関わっています。当然ですが、このインフラストクチャは犬の動画、チュートリアル動画、お笑いやスポーツのクリップなど、他の動画コンテンツにも適用されており、裏で稼働しているインフラストラクチャはほとんど同じです。 

エクイニクスの新たなブログシリーズ「デジタル接続基盤」では、ストリーミングコンテンツ、ライドシェアアプリ、デジタル決済など、私たちの日常を支えるデジタル体験の背後に隠されたインフラストクチャを探求していきます。今回の記事では、常に人気を博している猫動画を支えるデジタル接続基盤について詳しく見ていきます。 

動画コンテンツの作成と視聴:ユーザー体験 

ソーシャルメディアの動画作成と視聴のフロントエンドプロセスは非常にシンプルです。 

  • 通常ユーザーがスマートフォンで動画を撮影 
  • 撮影した動画をインターネット経由でソーシャルメディアプラットフォームにアップロード 
  • ソーシャルプラットフォームが動画を処理・保存し、通常はコンテンツデリバリーネットワーク(CDN)を通じて配信 
  • CDNが地理的に視聴者に近いサーバーからコンテンツを提供 
  • ユーザーは自身のデバイスで動画を視聴・共有 

猫動画のジャーニーマップ 

私たちが猫動画やその他のオンライン動画を友人、家族、フォロワーと共有する時、そのプロセスはシンプルでスムーズに感じられます。リンクをクリックするかアプリを開くだけで好きなコンテンツをいつでも視聴でき、デジタルデバイスとネットワーク接続さえあれば、動画の再生や「いいね」やコメントの共有は問題なく行えます。 

オンライン動画の深層:舞台裏で何が起きているのか? 

このシームレスなデジタル体験の背後には、重要なITインフラストクチャ、ソフトウェア、サービス、そして強力なテクノロジープロバイダのエコシステムが数多く存在しています。これらのテクノロジーや企業によって、ソーシャルネットワークにアップロードしたコンテンツを、世界中どこでもオンデマンドで届けることが可能となっています。 

ITインフラストクチャ 

まず、ハードウェアとソフトウェアについて見てみましょう。スマートフォン、タブレット、ノートパソコンなどのユーザーデバイスに加え、デジタル体験を支える重要な物理インフラとソフトウェアがあります。インターネットは目に見えない存在のように感じられることが多いですが、これらのハードウェアやソフトウェアなしには成り立ちません。 

動画オンデマンドのエコシステムに関わるすべてのプレイヤーは、物理的なサーバー、ストレージ、ネットワーク機器を必要としています。インターネットサービスプロバイダ(ISP)、モバイルキャリア、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)、クラウド、プライベートおよびパブリックデータセンターも、すべてこれらの設備を利用します。例えばCDNは、エンドユーザーにより近いネットワーク拠点(PoP)を構築しエッジロケーションに設置されたサーバーやネットワーク機器を使用します。これにより世界中のユーザーにコンテンツを迅速に届け、遅延を減らし、パフォーマンスを向上させます。

また、コンテンツ配信には広範囲に及ぶ陸上および海底ケーブルのネットワークも必要です。超高速でのコンテンツ配信を支えるコアな物理インフラを維持するために、電力や冷却設備、さらにハードウェアを最適に動作させるための環境管理装置も求められます。 

テクノロジーのエコシステム 

一本の猫動画を見る時、背後にどれだけの技術プロバイダが関与しているか、多くの人は気づいていません。まず、ユーザーが動画をアップロードしたりダウンロードしたりするソーシャルメディアプラットフォームが挙げられます。 

Facebook、Instagram、X、YouTube、TikTokなどのソーシャルプラットフォームが代表的です。これらのプラットフォームは、動画がアップロードされた後にエンコードや画質向上などの処理を行います。 また、ユーザーの視聴や関与のパターンに基づいて、アルゴリズムを使用してユーザーに推奨する動画をアルゴリズムで選定しています。 

ISPも重要な役割を担っています。多くのソーシャルメディアコンテンツが公共のインターネットを通じて配信されるため、ISPは動画データを輸送するネットワーク接続を提供しています。ライブストリーミングやリアルタイム動画とは異なり、ソーシャルメディアの動画は一般的に高帯域幅を必要としません。再生前にコンテンツをバッファリングすることで、遅延や一部のパケット損失を補っています。 

コンテンツ配信ネットワーク(CDN)は、多くの消費者があまり意識していない重要なエコシステムの一部です。Akamai Technologies、Cloudflare、Amazon CloudFront、Fastly、Google Cloud CDNといったCDNは、写真や動画ファイルなどのコンテンツを保存し、世界中のユーザーにグローバルに分散したエッジサーバーやネットワーク拠点(PoP)を利用して配信します。CDNはどこにいるユーザーにも低遅延でコンテンツを提供するために欠かせません。 

AWS、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなどのクラウドサービスプロバイダ(CSP)も、動画の保存、処理、配信のためのスケーラブルなインフラストクチャを提供しています。ベンダーニュートラルなデータセンターでは、CSPは猫動画を含むトラフィックを高速化するクラウドオンランプを提供しています。 

動画変換サービスプロバイダーであるMux、Qencode、Gumlet、Brightcoveなどは、動画ファイルを適切なフォーマットに変換し、視聴に最適化します。多くはクラウドベースのソリューションを提供しており、CSPも動画変換サービスを提供することがあります。 

エクイニクスのようなデータセンター事業者は、サーバー、ストレージ、ネットワークインフラストクチャを中立的な場所にサーバー、ストレージ、ネットワークインフラストラクチャを設置し、動画の保存や処理を支えています。データセンターはエコシステム内のプレイヤーが相互に交流し価値を交換する場であり、主要なクラウドオンランプ、ISP、CDNが同じデータセンターに存在することもよくあります。 

猫動画のデジタルワークフロー 

ITインフラストクチャと動画オンデマンドエコシステムは、猫動画が通過するワークフローの中で一体化します。典型的なソーシャルメディア動画のワークフローは以下の通りです。 

  1. コンテンツの作成エンコードアップロード:ユーザーがローカルでエンコードしたコンテンツをインターネット経由でソーシャルプラットフォームにアップロードします。 
  2. 動画の変換通常、プラットフォームまたはソフトウェアツールが動画ファイルを再エンコードし、1つのフォーマットに圧縮して、コンテンツを配信方法にあわせてフォーマットを最適化します。これは専用ハードウェアまたはクラウド上でソーシャルプラットフォームによって行われます。 
  3. コンテンツの保存:ソーシャルプラットフォームがオリジンサーバーでコンテンツを保存し、CDNからリクエストがあるまで保持します。保存場所はデータセンターまたはパブリッククラウドに配置されます。オリジンサーバーへのアクセスはインターネットまたはプライベート接続経由CDNにアクセスします。 
  4. コンテンツのユーザーへの配信:ユーザーからリクエストがあると、最も近いCDNサーバーがオリジンサーバーからコンテンツを取得し、ユーザーに届けます。また後続のリクエストのために一定期間キャッシュされます。コンテンツはあらかじめCDN内で事前配置され、プライベートデータセンター、CSP、またはコロケーション施設にある分散サーバーやネットワークPoPを通じてグローバルに利用可能になります。 
  5. コンテンツの視聴と共有:最終ユーザーが個人デバイスで動画を視聴・共有します。プラットフォームのウェブサイトまたはアプリ上でリンクをクリックすると、デバイスに最も近いCDNサーバー特定するDNS名が提供され、コンテンツが再生のためにユーザーデバイスに送信されます。
     

インフラストクチャとデータセンターは不可欠 

ご覧の通り、シンプルな猫動画の共有も膨大なデジタル接続基盤を経ています。データセンターとその内部インフラストクチャ、さらにそこにホストされるテクノロジープロバイダの相互接続されたエコシステムは、私たちの日常的なデジタル体験を支える重要な要素です。 

世界を代表する多くの企業、ISP、CDN、モバイルキャリア、クラウドオンランプなど多くが含まれる10,000社以上がエクイニクスのデータセンターに集まっています。エクイニクスにおいては、これら企業が少ないホップ数で相互接続を行い、猫動画をはじめとする大容量のデータを高速で提供しています。現代のデジタルライフのあらゆる側面で、消費者や従業員の体験を向上させる価値交換を可能にしています。 

あなたがどんな有名猫をフォローしていても——私たちはベネディクトとミモザがお気に入りですが——日常を支える見えないデジタル接続基盤をぜひ意識してみてください。エッジにおける最新インフラストクチャの役割について詳しく知りたい方は、「デジタル優位性を加速する4つの方法」に関するインフォグラフィックをダウンロードしてご覧ください。 

 

[1] ジェシカ・ガル・マイリック、「感情調整、先延ばし行動、オンラインでの猫動画視聴:誰がインターネットの猫を視聴し、なぜ視聴し、その影響は?」『Computers in Human Behavior』第52巻、2015年。 

 

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Ed Baichtal Principal Product Manager
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