企業ネットワークを支えるインターネット。しかし、すべての要件を満たせるとは限らない

より高速で安定した通信と、データプライバシーやセキュリティに対する高い制御性を実現するために、プライベート相互接続を検討すべき時かもしれません。

Nicholas Hollings
企業ネットワークを支えるインターネット。しかし、すべての要件を満たせるとは限らない

消費者向け・企業向けを問わずさまざまな接続手段がありますが、インターネットは今や日常生活に欠かせない社会インフラとなっています。企業においても、パブリックインターネットは主要なWAN基盤として活用されるようになり、従来のMPLSネットワークを補完、あるいは置き換えつつあります。この流れを後押ししたのが、過去10年間で急速に普及したクラウドとSaaSです。多くの企業向けソフトウェアがサービス型へ移行したことで、インターネットを活用したネットワークへの移行が加速しました。

インターネットは可用性が高く、コスト効率にも優れているため、多くの企業はその信頼性や性能を当然のものと考えがちです。そして、多くの場合、自社の要件を十分に満たせると考えています。実際、多くのワークロードではそれで問題ありません。しかし、インターネットは万能ではありません。その裏側には複雑なネットワークインフラが存在しています。

また、インターネットは本質的にパブリックな共有ネットワークであるため、すべてのワークロードに最適とは限りません。安定したユーザー体験が求められる環境では、インターネット特有の通信品質のばらつきが課題になることがあります。ユーザー向けの通信を信頼できる経路で届けられるかどうかは、顧客維持と顧客離れを左右する重要な要素です。さらに多くの企業では、通信経路を明確に制御できることや、ユーザートラフィックがどの経路を通っているのかを可視化できることを重視しています。例えば、規制要件に対応するため、トラフィックを国内に留める必要があるケースもあります。

障害の発生、生産性の低下、売上機会の損失、顧客からのクレームなどを経験した結果、特定のワークロードやビジネス要件に対してはインターネットだけでは十分ではないと気付く企業も少なくありません。そしてその段階に至ると、多くの企業がより高い性能、セキュリティ、信頼性を実現するプライベート接続ソリューションの検討を始めます。

ネットワーク性能・コスト・制御性の最適なバランス

企業には、多様な接続手段の選択肢があります。それぞれの要件に応じて、パブリック接続とプライベート接続の最適な組み合わせを模索しています。特定のワークロードに最適な接続方法を検討する際、企業はパフォーマンス、コスト、可視性(オブザーバビリティ)をはじめとするさまざまなネットワーク要件のバランスを取りながら、最適なユーザー体験の実現を目指します。

ビジネスの世界には、こんな有名な言葉があります。「高品質・高速・低コスト:このうち2つを選べ」です。すべてを同時に最適化することは難しいため、企業は優先順位を見極める必要があります。最も信頼性が高く、低遅延かつ高速なネットワークは必ずしも低コストではありません。一方でコストを優先すると、遅延、速度、信頼性のいずれかを妥協しなければならない場合があります。

インターネットだけでは十分でなくなるのはどんなときか

ここでは、インターネットだけでは課題が生じやすい5つの領域を見ていきます。インターネットでは不十分な5つの主要分野について詳しく見てみましょう。

1. 厳格なデータプライバシーとセキュリティ要件がある場合

パブリックネットワークであるインターネットでは、通信中のデータが不正アクセスや情報漏えいのリスクにさらされる可能性があります。暗号化や各種セキュリティ対策によってリスクを軽減することはできますが、インターネット上を流れる通信は傍受される可能性を完全には排除できません。また、パブリックインターネット上で通信経路が改ざんされるリスクも存在します。これにより、フィッシング、ランサムウェア、DDoS攻撃、マルウェアなどの脅威への攻撃対象領域(アタックサーフェス)が拡大し、企業データが危険にさらされる可能性があります。

2. 規制の厳しい業界や地域で事業を展開している場合

医療や金融などの業界では、機密性の高いデータを扱い、サイバー攻撃の標的になりやすいため、より厳格なデータ規制への対応が求められます。インターネットでは、プライベート接続が提供するような通信の分離性や制御性を保証できません。また、一部の規制で求められる「データを国内に保持すること」を保証することもできません。そのため、インターネットだけでは、一部の企業や組織が求める監査性やコンプライアンス要件を十分に満たせない場合があります。

3. データ アクセスの追跡性が求められる場合

機密データを扱う企業では、どのユーザーやロールが特定のデータへアクセスし、利用できるかを細かく制御するための高度なID・アクセス管理(IAM)が求められます。パブリックインターネットでは、通信がどの経路を通っているのかを細かく可視化することが難しく、アクセス管理やネットワーク分離、監視に必要な可観測性(オブザーバビリティ)が制限されます。きめ細かなアクセス制御を実現することで、通信経路の追跡や監視が可能になり、監査やコンプライアンス対応を強化できます。

4. ネットワークパフォーマンスを最適化する必要がある場合

企業によっては、超高速かつ高信頼なネットワーク性能が求められます。たとえば、次のような要件があります。

  • ミッションクリティカルなアプリケーションを優先制御するQoS(Quality of Service)
  • ネットワーク負荷の変動に応じた動的なリソース配分
  • 特定のデータや部門を分離するネットワーク セグメンテーション
  • ネットワーク障害を迅速に検知・対応するための継続的な監視
  • 最低帯域保証

パブリック インターネットでは、このレベルの詳細なネットワーク制御を実現することは困難です。

5. 柔軟なトラフィック制御ポリシーが必要な場合

さまざまな理由から、一部の企業では通信経路を明確に制御するための柔軟なトラフィックポリシーを必要としています。しかし、通信が自社ネットワークの外へ出ると、そのような制御は困難になります。

こうしたケースでは、インターネットだけでは要件を満たせなくなっている可能性があります。そのような場合こそ、プライベート相互接続の導入を検討するタイミングです。

インターネットに代わる手段の重要性

もちろん、企業にはインターネット以外にも、パブリックピアリング、プライベートピアリング、プライベート相互接続など、さまざまな接続手段があります。

パブリックピアリングやプライベートピアリングは、その中間的な選択肢です。インターネットよりも通信経路の制御性が高く、低遅延で、一定レベルのネットワーク可視性も確保できます。特にプライベート ピアリングは、専用帯域と強化されたセキュリティを提供します。

しかし、より低遅延で、高いセキュリティと可観測性を求める場合には、プライベート相互接続が最適な選択肢となります。ダイレクトかつプライベートな接続により、パブリックインターネットが抱える主要な課題を解決できます。プライベート相互接続により、セキュリティ強化、予測可能なパフォーマンス、高い制御性、柔軟なカスタマイズ性、そして優れたユーザー体験を支える安定した接続環境を実現できます。

導入事例

ある農業関連企業では、Cloud A上の本番環境とCloud B上の開発環境で構成されたマルチクラウド環境を運用していました。本番環境のデータを開発環境へ同期するために、インターネット経由でデータ転送を行っていました。しかし、日によって通信速度に大きなばらつきがあり、生産性の低下や開発者のユーザー体験悪化につながっていました。こうした問題が発生しても自社で十分に対処できず、その結果、この用途にはインターネットだけでは不十分だと認識するようになりました。

そこで同社は、2つのクラウド間をプライベート接続で結ぶためにエクイニクスへ支援を依頼しました。導入されたプライベート相互接続ソリューションにより、帯域保証、安定したパフォーマンス、高い可視性を実現しました。現在では、ネットワーク品質が安定したことで、開発者は常に一貫した利用環境を確保できるようになりました。また、問題が発生した場合でも迅速に原因を特定し、対応できるようになりました。以前のように原因が見えない状態ではありません。

インターネットが常に最適な接続手段とは限らないことに、多くの企業が気付き始めています。パブリックインターネットを経由せず、企業間で直接やり取りされるデータ量は増加しています。AI活用の拡大に伴い、高速な接続環境の重要性はますます高まっています。今後は、インターネットだけでは要件を満たせないワークロードにおいて、プライベート相互接続を採用する企業がさらに増えていくでしょう。

エクイニクスは、ソフトウェア定義型のプライベート相互接続サービスを提供しており、企業は分散したインフラを接続するとともに、世界中の顧客、パートナー、クラウド、サービスプロバイダーとシームレスにつながることができます。Equinix Fabric®を活用することで、パブリックインターネットを介さずに接続できるため、セキュリティリスクやアタックサーフェスを低減しながら、低遅延かつ優れたアプリケーションパフォーマンスを実現できます。

プライベート接続の価値の詳細を知りたい方は、当社のホワイトペーパー「The Future of Interconnection – Driving innovation, efficiency and growth(相互接続の未来 ― イノベーション、効率性、成長の推進)」をぜひダウンロードください。

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Nicholas Hollings Director, Global Principals (APAC & EMEA)
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